ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第89回 財津 和夫さん

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財津 和夫さん
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「魔法の黄色い靴」から変わってきているのは
- 佐々木
大変面白いですね。曲は例えば、アルバム「魔法の黄色い靴」に入っていたような曲風と、最近の曲風で、全然違う、テイストが違うと思うんですけれど、それは、私がそういう風に思うのはなぜなんでしょう。何か、楽器とか、演奏環境とか、録音環境が違うっていうのがひとつあるんじゃないかなと思うんだけれども、そもそも曲のテイストが違うのは……。
- 財津
すべてが変わってきていますよね。まず年齢が違う。詩の世界が全然……だから価値観が違う。それから、今も言ったように、これだけ作ってきちゃったから、これと違うのをどうしても作ろう、という強迫観念がある。
- 佐々木
もう1回、例えば、「魔法の黄色い靴」みたいなのを作ろうとか、「青春の影」みたいなのを作ろうとか、「一人の部屋」みたいなのをって。とってもいいと思うんですが。
- 財津
よく聞いていただきました。35周年にあたって、今回、もう最後にしよう、って言っているんですよ。
- 佐々木
え? そうなんですか?
- 財津
チューリップ。アルバム作るのも大変だし、ツアーも去年やって……疲れた。
- 佐々木
疲れました?
- 財津
本当に疲れました。なので、多分次回が最後だな、ということを考えたときに、何を作る? って話をして、やっぱり自分たちが「一番いいね」って言われていたような、そういうテイストを持った、その時代に戻って作ろうよ、というコンセプトで始めたんですよ。2007年5月くらいの発売予定で、今レコーディング中なんですけれど。
- 佐々木
へえ、スタジオ行きたいな(笑)。
- 財津
え、スタジオ? 来てくださいよ。……でも、もっと細かく言うと、当時は音楽的な教養がまだなかった。で、今は、長い間やってきちゃって、持っちゃったじゃいですか。だから、間違ったことはできないんですよ。ね? 恥ずかしくなっちゃうのね。
音楽的におかしいじゃん、っていうことになると、昔みたいに、「粗削りだけどいい」、いわゆる、ヘタうまみたいなやつね、その良さが、もう出せないんですよ。
- 佐々木
そうか。だから途中から、洗練されている感じがとても強くって、私はそれが……。
- 財津
つまんないでしょ?
- 佐々木
はい(笑)。
- 財津
だから、洗練されて、いいアーティスト、っていうか、それにふさわしい、もっともっと音楽的に教養の高いアーティストはそれをやればいいのに、中途半端に頭が良くて、受験勉強やりすぎて失敗した、みたいな、そういうタイプになっちゃった(笑)。
- 佐々木
いやでも、洗練されているところと、オリジナリティをキープすることは、ミックスするはずですよね。だからやっぱり、オリジナルな部分の特徴が、何か強く持っていれば、そこを出されたほうがかっこいいんじゃないんですか?
- 財津
プロデューサーだ……。これは、マネージャーのオファーはちょっとやめて、プロデューサーでいいですか。
- 佐々木
(笑)私、何か、ご一緒させていただけるんでしょうか……。
- 財津
なんか、最後かもしれないんで、ちょっと、アルバムに関して、何かいじりませんか? ああ、そうだ。昔、歌詞書いてもらったんだよね。
- 佐々木
はい、でもそれは、内緒にしておきましょう(笑)。……ずっとステージは見てきて、こんなことを言うのは失礼なんですけれど、最近のステージでは、よく声が出る。歌唱力が以前よりだんだん良くなっている、って思っているんですが、トレーニングをされているんですか?
11/21
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