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関根千佳さん
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「社会の構成員がそれぞれ幸福になる」という法学の考え
- 佐々木
関根さんは、もともとSEでいらっしゃる。大学は法学部でしたよね。
- 関根
そうです。
- 佐々木
SEの経験と当時のアメリカでの2年間の生活に、やっぱり法学部のバックグラウンドがまざって、ユニバーサルデザインに関心を持ったのでしょうね。
- 関根
そう思います。結局、社会の構成員がそれぞれ幸福にならなかったら、全体って幸福にならないんじゃないかって。なんか宮沢賢治みたいですけど。そういう感覚って、やっぱり法学をやっているとありますよね。それが日本の中であまりにも不公平だなって思ったところが、大きかったかなって思いますね。
- 佐々木
おっしゃるとおり、障害のある人たちは、それまで日本社会にまるでいないかのようだった。よく考えると、それは、外に出る術を持たなかったから。
- 関根
そうそう。
- 佐々木
でも最近は少しずつ、街を散歩していても、電動車いすの方に何人もお会いするし、テレビにも出ている方もいらっしゃるし、さまざまなところで会うようになった。だから、関根さんは、自分の仕事が、実際の変化に直結したなっていう感覚が、ものすごくあるんじゃないですか。
- 関根
まあ、たくさん出てきていただくのもすごくうれしいし、なんと言っても、明日は我が身なんで。日本の障害者も、実は18歳以上の障害者の62%が65歳以上です。何らかの加齢の影響が出始める50歳以上で計算するとなんと87%を占めるのです。だから年をとって目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりというのは、当たり前なんですね。
- 佐々木
そうですよね。たしかにいろんな不自由が出てきますよね。
- 関根
手帳を持っていない高齢の障害者の方は、実はもっといるって言われるんですよ。明らかに、明日は我が身。だから、「なんでこんなお仕事を始めたんですか?」って聞かれたら、「そりゃ、私もいつかは年をとるからですよ」って必ず回答するんです。
だって、アメリカで出会ったあのおばあちゃんたちは、体が少々悪くても、元気いっぱいに街でショッピングをしているわけですよね。
私、年をとって日本で買い物ができなくなったりするのは嫌だなと思ったので、こういう仕事を始めたんですね。そう思いません?
年をとったり障害があったら、どこへも行けないなんて、つまらないですよね? だから、それを考えたら、自分も必ず高齢化するのに、先々、自分が暮らしにくい日本になってたまるか、っていう気がしますよね。
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