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関根千佳さん
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障害者たちと一緒にユーザビリティを確かめる
- 佐々木
で、始められると、もうすでに知り合いだったクライアントからの依頼も多くあったのですね。
- 関根
そうですね。でも最初はやっぱり、さすがに年間売上700万とかいうささやかなものでしたけど。まあ、自宅でやってますし、コストは人件費だけですから。でもその後は倍々ゲームでした。で、人を雇い始めて、現在正社員が5人です。また登録社員という制度もあり、280人くらいの方々に協力をお願いしてるんですね。佐々木さんのところも、ですよね?
- 佐々木
まあ、ユニカルは通訳者・翻訳者などが登録してくださっていますし、イー・ウーマンには、リーダーという登録制度があります。関根さんのところの方は、さまざまな障害を持った方が多いということですか?
- 関根
いろいろです。重度障害の人もいれば、非常に優秀なんだけど子どもが小さくてなかなか外に出られないっていう方、シニアの方、ネットで仕事をしたいという外国在住の方々、そういうメンバーが全部、ネットワークの中でつながってるんですよ。
- 佐々木
そういう方々に、たとえば、ビデオカメラが持ち込まれると、その商品が障害のある人たちに使いやすいかをテストする、ということですね。
- 関根
検証しましょう、とかね。ATMやコピー機のように大きいものだとクライアントさんのところに集まって、みんなであーだ、こーだ言いながら、評価をするんです。クライアントは全国にいるので、そこの場所に近い方にお願いすることもあります。
携帯電話とか健康機器とか、小さな物で10個くらい貸していただけるのがわかったら、登録社員に貸し出します。アクセシビリティやユーザビリティを専門とする社員がプロジェクトリーダーになり、「このようなタスクを出しますから、これに従ってやってみてください」ってモニターの皆さんにお伝えするんですね。
それに応じて評価をやっていただいて、問題点がなかったか、どうすればもっと使いやすくなるかというレポートを詳細に書いてもらうんです。
で、最終的に社員たちがそれをまとめます。「次のバージョンにはこんなふうな機能を入れて、こういったマーケティングの仕方をすれば、こういった層に対してきちんと使える製品として売れると思います」っていう評価レポートをお出しする。それが一連の流れなんですね。
- 佐々木
今、お仕事の中で、それが一番多い……?
- 関根
そうですね。売上の中で7割くらいがそういう仕事です。残りの3割が、ウェブサイトを同じような形で評価してくださいっていうものですね。
本当は、実際にアクセシブルなものに作り変えてくださいという依頼も来るのですが、あまりスタッフが多くないので、制作の方まで手がまわらないんですよね。
- 佐々木
商品の幅は?
- 関根
私たちは、IT機器に特化してるんですよ。たとえば洗濯機なんかでも、いわゆる液晶の部分やボタンなど、人が機械に相対する部分だけです。インタラクティブ・デザインって呼ばれるジャンルなんです。
10/21
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