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川本裕子さん
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「フリーランチ」はない
- 佐々木
そういった課題のある日本の経済ですが、これから動かすため、私たちが持つべき大切な視点って、どんなことでしょう。
- 川本
2つあると思うんです。一つが「フリーランチはない」ということ。何か便益が発生すれば、かならずコストをだれかが負担している、ということです。ただ飯はない、ということ。積極的な財政拡大は、経済のスパイラル的な崩壊を防ぐために必要という面もあるけれど、一方で財政赤字が急速に拡大する。
- 佐々木
何かわかりやすい例はありますか。
- 川本
たとえば、「土日祝日の高速料金1,000円」。テレビなどのインタビューは、いつもサービスエリアでしょう。そうすれば利用している人たちなのだから、まあ、満足の声も多いでしょう。でもこれ、「マイカーを使って」「土日祝日に」「高速道路を」走るホリデーメーカーが受益者になります。電車などの公共交通機関を利用する人も、飛行機を利用する人も、自転車の人も、関係ありません。さらに、ETCを利用している人に限られますよね。
- 佐々木
フリーランチはないわけですから、この安さをつくるために、多大な税金が使われているわけですよね。
- 川本
そう。利用料を1,000円にするために、どのくらい使っていると思います? 税金を5,000億円つぎ込んでいる。一人当たりにすると5,000円にもなります。その上に2.5兆円の借金返済も国費でまかなっていて、最終的には納税者の負担になります。少子高齢化で、教育費や子育てなど十分にお金が回っていない中、税金を使う優先順位として、高速道路1,000円は、正しい選択だと思いますか。
- 佐々木
確かに、そもそも高速道路にどうしていつまでもお金を払うのか、という疑問はありますが、高速道路1,000円は、疑問が残ります。
- 川本
高速道路料金がこれほど高いのは、どうみても採算のとれない道路を莫大な借金を続けながら、日本中に建設してしまい、まだ作り続けていることに原因がある。5,000億円を使うなら、借金返済にあてるべきで、未来の世代の負担を減らした方がいい。
12/20
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