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川本裕子さん
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いかに多様な意見や見方をするか
- 佐々木
川本さんは、社外役員もたくさんやっていらっしゃいますよね。
- 川本
ええ、6社お引き受けしています。社外取締役が、大阪証券取引所、マネックスグループ、りそなホールディングス、イー・モバイル、ヤマハ発動機。社外監査役が、東京海上ホールディングス。
- 佐々木
ということは、月に6回の役員会。
- 川本
6回以上あります。全部出席していますよ。予習もたくさんします。
- 佐々木
面白いでしょう?
- 川本
面白いし勉強になります。企業はやはり経済の最前線だから。
- 佐々木
私もニッセンと東京海上日動火災の2社の社外役員をしているのですが、多様性という意味では貢献している実感があります。
- 川本
会社というのは、それぞれ固有の文化があって、皆、使う言葉も違うでしょう。そんな中で、日本の大企業の問題は、同質性だと思うのです。そこでいかに多様な意見や見方をするか、客観的な意見を言えるか、ということが大事だと思っています。「社外役員は役に立たない」と言っている人たちもいるけれども、それこそ、どう活用するかの意欲次第、意識次第だと思います。社外というのは会社の外に出る一歩手前。だから、そこで自分達の意見の正しさとか、戦略の方向性が間違っていないか、とか。自分達がチェックする機能として活用すればいいと思う。
- 佐々木
消費者や株主などにどんなふうに伝わるか、とかが確認できる。もちろん、どんな人を「社外」として迎え入れるかにもよりますけれど。役員全員が勤続年数の同じ男性で、「30年前のあの日」とか言うと皆が思い出せるみたいだと、多様性ということが難しいですからね。だから、役員というドアを開けるのは本当に決意と自信がなければできないでしょうけれど、それをする企業は、すごく健全だし、今の世の中から長く受け入れられる企業になる一歩だと思っています。
- 川本
それにガバナンス上は、本来であれば1〜2人ではなく、取締役会の半数以上が社外で、社内で決めたことが「反対される」という緊張感がある方がいいと思います。
- 佐々木
そのとおりですね。ニッセンは、半数以上が社外ですから、社外の声が、きちんと届いていると思います。多様な視点という意味では、女性や、外国人、若い人も、役員で増えたらいいと思います。いい意味で、利害関係があまりないから、歴史がない、しがらみがないから。
- 川本
やっぱりアウトサイダーなのかもしれないですよね。
- 佐々木
そういう意味で、今までアウトサイダーだったことがプラスに働く貢献の仕方って、社外役員だという気がするんです。
- 川本
ただ、社外役員は、一つのファンクションとしてあるんだけど、社外役員が気がつく話は、社員は分かっていることも多いですよね。だから、やっぱり社員の中での多様性を作っていくのは、すごく大事で。
- 佐々木
それもその通り。中にいっぱいいるんですからね。私も、社員の多様な視点を活用することが経営に大切だし、だからこそ、ワークライフバランスで、社員が多様な視点を日常で体得することが経営にもプラスになると思っています。
- 川本
私が今たくさんご依頼を引き受けているのは、雇用機会均等法以降入社の層の人達が、あと、もう2〜3年で、役員に育ってくるんだと思うのですよね。だから女性が増えていく時に、女性の役員として存在することに意義があるかな、というのもあります。
- 佐々木
「ああいう人も役員なんだ」というのが、社内の人達から見ても、励みにもなりますよね。そういった課題のある日本の経済ですが、これから動かすため、私たちが持つべき大切な視点って、どんなことでしょう。
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