ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第134回 ニヤンタ・デシュパンデさん

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ビジネス コンサルタント、レキシコン アソシエーツ 代表、カクタス・ジャパン顧問
ニヤンタ・デシュパンデさん
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失われた10世紀
- ニヤンタ
だから日本とインドの共通点は教育熱心であることだと思うんです。それは、なぜかというと、そういう土壌なんですよ。歴史があれば、その歴史の重み。日本の場合も、それは同じでしょ? その重みは半端じゃないんですよ。アフリカとかと比べてみると、文明の重みが欠けているでしょ? その土壌がないですよね。だから、そこがすごくかわいそうだと思っています。
やはりインドの場合は、長年大変な時期があったんで。長い間侵略されて、植民地だったので、今の貧しいインドがありますよね。インドと中国が、世界のGDPの5割以上を占めていた時期があったので、決して経済的には貧しい国ではなかったんです。
でも、インドが植民地で、独立できなかった期間というのは10世紀なんです。私はよく、それを、あまりいい冗談ではないんですけれども、「失われた10世紀」と言っているんですよ。「失われた10年」とかじゃなくてね。そういうスケールなんです。だから今、教育を広めて、それで社会の底上げ、経済的な底上げと教育の底上げによって、もう1回、インドの貧しい人達を救える。その手段が教育と経済になっているんです。
だから今、ようやくインドで、ITも進んでいますし、一番嬉しいことは、女性の社会進出がとてもいいんですよ。特にインドの7割がまだ農村部ですから、そういうところは、昔は女性が社会進出するということは考えられなかったんです。
- 佐々木
あるいは、教育さえも受けられなかったでしょう。バングラデシュでの、女性の教育は取材しました。
- ニヤンタ
インドの場合は、約100年前にそういう革命が起きたんですよ。で、女性が全員学校に行けるようにしましょう、とかね。
- 佐々木
それで大統領も女性になったりするんですね。
- ニヤンタ
そうです。それは教育の成果なんですよ。日本も、今の日本があるのは、日本人が教育に対して、ものすごくたくさんボランティアしたからなんですね。「読み・書き・そろばん」を、日本人の識字率を上げようという部分に関して、お坊さんにしても、先生にしても、昔の寺子屋とか、そういう教育の歴史がとてもすばらしいと思っています。
インドの場合も、ようやくインドの先人達が、そういう大変な中で、歪みがあったんですが、それを全部捨てましょう、カースト制度による、教育ができないとか、そういう不公平なところを直しましょう、というのが100年ちょっと前ぐらいにあって、女性も学校に行けるようになりました。
「教育は100年の計」ということが、日本で、よく言われるんですけれども、まったくそのとおりで、インドのカースト制度が崩れて、女性もちゃんと社会進出ができるようになるためには、ちょうどその「100年の計」教育が必要だったんです。
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