ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第132回 金子郁容さん

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慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長、教授
金子郁容さん
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親からのメールはすごく助かった
- 金子
メーリングリストの活用は、トップダウンでしたが、結果的にはみなから喜ばれた。そういう場合もあります。幼稚舎への着任が4月で、夏までにみながメーリングリストを使うようにって、方針を出して、お願いした。私が来る前に、校内LANはできていたし、教員1人に1台学校のPCを配っていたし、皆ワードとエクセルとかは使っていた。でも、ネットワークはあんまり使ってなかった。
- 佐々木
それで、覚えるようにと?
- 金子
連絡はメールで、ということにしたんです。重要事項についてのやりとりや報告をメーリングリストでやると、記録が残るし、議論の論点が整理されるし、合意事項が明確になる。当時は2000年です。小学校でこんなことを始めたのは幼稚舎だけでしょう。
- 佐々木
確かに幼稚舎の入学説明会で、親が担任のところに出すメールに、舎長をCCで入れてくる時代だという事例をお話されていましたね。
- 金子
校長先生に文句言うって、なかなか難しいじゃない。佐々木さんみたいな人は別でしょうけど。
- 佐々木
そんなことないですよ。文句は言いませんよ。
- 金子
小学校は小さな子どもを扱っているから、小さなトラブルや親として気になることはたくさんありますよね。担任にそれを相談することも、ある程度、勇気がいることでしょうが、まして、校長に話すとなると「おおごと」だと感じるでしょう。しかし、気になったことは小さなうちに、こじれる前に教えてもらったほうが、学校としては助かる。
私が在任中は、親御さんからたくさんのメールをいただきました。それは、私にとっては、開かれた小学校のひとつの象徴でしたし、実際にトラブルを回避する上でも効果的でした。もちろん、私としては、ほとんどのことは「担任に任せてありますから」という返事をするだけでした。担任の頭越しに親と校長が、何でも話し出したら学校は混乱します。それでも、校長にいつでも意見を言えるということで、親にとっては全然違うじゃない?
- 佐々木
そうですね。校長が「聞いたよ」ということがね。
- 金子
そう。担任だけでは処理できないことは、なるべく早く学校として検討して、何ができ、何ができないかは親に知らせるようにしました。
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