ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第132回 金子郁容さん

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慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長、教授
金子郁容さん
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コミュニティスクールは分権的な制度なんです
- 佐々木
その学校運営協議会は、学校に子どもが在籍している保護者から選ばれるんですよね。アメリカなどでは、子どもが通っている、通っていないにかかわらず、地域の人たちが学校運営の総会のような場所で、いろいろと意見を言ったりすることができると。私にはアメリカ人のおじがいるんですけど、彼の子どもはもう大人ですが、「今日は小学校の何とかがあるから」って出かけて行くことがありました。
- 金子
それは運営に関すること?
- 佐々木
そう。アメリカ流の言い方をすれば、公立の学校運営には地域住民もかかわる。それにより地域の治安も良くなるし、不動産価値も高まるということですよね。
- 金子
アメリカの場合は、ご存知のように、固定資産税の中から学校運営の予算が出されている。その意味で、地域の人も学校運営に関心をもたざるを得ない。
- 佐々木
明確にスクールタックスと書かれていたり、学校の会議にも出席していれば、やはりコミュニティスクールの概念も生まれやすい。でも日本だと、どんなに自宅の目の前が小学校でも、自分に子どもがいなければ、全然関係なくて。子どもたちはうるさいと思っている人さえいるかもしれない。
- 金子
コミュニティスクールの学校運営協議会は、教員、保護者、子どもがその学校に行っていない地域住民、有識者などが一定の割合でメンバーになる。多くの場合、協議会は、3分の1教員、3分の1保護者、3分の1地域かそのバリエーションになっているようです。
制度的なことでちょっと専門的になりますが、コミュニティスクールは、非常に分権的な制度なんですね。法律はもちろん国がつくったんだけれども、コミュニティスクールの運営に国とか県は一切かかわらない。市区町村の教育委員会がこの学校はコミュニティスクールだと言って、学校運営協議会をつくれば、コミュニティスクールが誕生するんです。
法律に書いてある重要なポイントは3つあって、それ以外の詳細は「全部、市区町村で決めてください」という制度です。法律で定められていることの1つは、「保護者と住民が必ず参加しなければいけない」と法律に書かれています、両方ね。もう1つは、「学校の基本方針を校長が作成し協議会の承認を受ける」。承認を受けるということは、否定するというようなことではなくて、事前に計画を立てて、協議会にちゃんと相談してねということ。相談する時は専門用語で言うのでなくて、ちゃんと協議会の教育の素人が分かるように具体的に言ってくださいね、と。
協議会からは、たとえば、「不登校対策をどうするか」とか、「本校では英語教育は採り入れるのか」とかという意見が出てくる。法律で定めてある3つ目のポイントは、教員の採用に関すること。協議会は法律に則って教員の採用について人事権をもつ任命権者に意見を述べることができます。そして、任命権者である都道府県の教育委員会は「その意見を尊重しなくてはいけない」と法律に書いてある。コミュニティスクールは制度的には、そういう仕組みになっています。
- 佐々木
利害が偏らない、ということですね。
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