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防災・危機管理ジャーナリスト、まちづくり計画研究所所長
渡辺実さん
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トイレのタンクも飲料水に使うって決めて
- 佐々木
イー・ウーマンサイトでの「働く人の円卓会議」で1位を獲得された「高層難民」のテーマでも、またそれまででの円卓会議でも、準備は「1週間分の自立ができるように」と書かれてますよね。私などは、地震だったら1週間分。でも、新型インフルエンザなら、1カ月分だな、というふうに考えて、少し多めに家に備蓄しているんです。ただ賞味期限が来るのが早いので、買い替えをしていると、日常生活でもいつも同じものを食べ続けなくてはならないようになるんですよね。
- 渡辺
だから、円卓会議でも書かせていただいているように、備蓄っていうのは、できるだけ日常生活の延長でやるべきだと思っているんですね。もちろん特別なことができる人はやってもらいたいんだけれども、ずぼらな人とか、あまり関心のない人も助けなきゃいけないんですよ、我々の立場から言うと。
- 佐々木
それがトイレやお風呂に水を溜めておくことだったりするんですね。私も、お風呂の水は朝まで溜めておくとか、やかんにも水をいっぱいに張って、ポットにも入れて、冷蔵庫には氷をフルに作って、などとしていますが。
- 渡辺
たとえばトイレのタンクも飲料水に使うって決めて、お風呂もとりあえず水は抜かないでとっておくと、家の中に結構、水はあるんですよね。で、たとえば地震で言えば、すでに大地震を経験しているわけですから、お腹が空いて、ガンガンものを食べたくなるという状況になれば、これはラッキーです。
- 佐々木
あ、精神的なショックもあって、そんなに食欲がわかないということですか。
- 渡辺
僕らが被災地に行っていても、そんな、お腹が空いたなんていう環境に、まずならないですから。ショックを受けているし。被災者の人たちだって、すぐにお腹が空いて、3食食べようなんていう人はいないって。
- 佐々木
そうか、食欲が出れば、もうずいぶん精神的には立ち直っているということなんですね。先生もたしか「1日2食分を準備するように」って書いてありましたものね。
- 渡辺
そうすると、1〜2日目ってほとんど食べていないんですよ。僕らは仕事で入りますから、もちろん食べられる環境にはないんだけれども。被災者を見ていたって、もう不安いっぱいで、自分の潰れた家の周りをうろうろされていたり、余震を心配しながら、「いつ、ものを運び出せるのか?」とか「貴重品だけは取りにいきたい」とか。
被災地に僕らが取材で入って、リポートなんかして、終わると、「専門家の方ですか?」と声かけてきて、「そうです」って言うと、「あそこ(倒壊している自宅など)に入りたいんだけど、どうやって入ったらいいでしょうかね?」とか、そういう時間ですよ、その時って。
20/22
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