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防災・危機管理ジャーナリスト、まちづくり計画研究所所長
渡辺実さん
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災害救助法って、いつできたかというと昭和26年なわけですよ
- 渡辺
僕らは災害のたびに検証して、そういうことって、もう分かっているわけですよ。だから「直そうよ」っていう話を誰かがしていかないと、短い時間だから、被災者だから、地震が起きたんだからっていう理屈のまま済まされてしまう。これは、実はその外側に「災害救助法」という法律の中で、そういう避難所運営をせざるをえないという制度の枠組みがあるわけですね。
- 佐々木
どういう意味ですか?
- 渡辺
大地震が起きて、避難所を開設して、水や食糧を国が被災自治体に対して、1人1食いくらっていう費用負担をするんですね。そういう枠組みの中で避難所の運営っていうのが作られている。でも、その救助法って、いつできたかというと昭和26年なわけですよ。もちろん食糧の単価は年々上げています。でも、その環境が……。
- 佐々木
食費は変更したけれども、ライフスタイルの変化にともなう環境は昔のままということなんですね。確かに私は、避難所の報道を見るたびに、「こういうものしか出ないんだな」と進化していないことを無意識に確認していたように思います。そして、そこに行くことを想定して、最低限、自分で枕とか布団の下に敷くものとかを持っていかなくちゃと考えてました。
- 渡辺
佐々木さんの場合は今のお話を客観的に見ると、要は、「行政がやらないから自分でやろう」っていう構造ですね。それを自助でやろうと。
- 佐々木
そうですね。まさにそう思っていました。あれ以上のものが出ないんだったら、たとえば私はタオルを丸めて枕にできるかもしれないけど、70代後半の母には、飛行機に乗る時のために売っている空気枕などが必要かもしれない、と避難袋に入れたりしてました。
- 渡辺
だから、それをどこまで国民が、「それは公助でやらなくてもいいよ。自分でやるよ」っていうのか。その価値観、バランスができあがっていればいいんだけれども、公のコストでカバーするのであれば、僕は少なからず、畳を入れて布団を入れるんだったら……。
- 佐々木
そうですね。簡易ベッドのほうが安いかもしれませんね。
- 渡辺
「そこは知恵を出せよ」と、つまり「もっとそこの部分を大事にしようよ」ということを言っていきたいんです。被災者は、さっきも言ったように奥ゆかしいから声が出てこないんですよ。
- 佐々木
そういった避難所を改善するというようなプロジェクトは、今、全然動いていないんですか? どこかで先生が仰っているような「チェックリストをもう一回見直そう」みたいな、声はないんですか?
- 渡辺
それは僕が非力なこともあるんだけど。声を上げているんだけれども……。
- 佐々木
何とか委員会ができて、今検討しているとか、そういうことはないんですね?
- 渡辺
ないんです。たぶん、国の中にできる何とか委員会っていうのは、大体、国の意向を踏まえた委員会になってしまうので……。
- 佐々木
それなら、自治体がやればいいんですよね?
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