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防災・危機管理ジャーナリスト、まちづくり計画研究所所長
渡辺実さん
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避難所の生活で、しっかり基本的な人権まで踏まえてほしい
- 渡辺
最近は、とみにそうですけれども、地震が起きている場所が地方の田舎なもんですから、高齢者が多いんですよ。ほとんどが高齢者です。そうすると、避難所というのは、ちょっと時間がたつと畳が入るんだよね。で、布団が入る。
ところが、多くの、というか、ほとんどと言ってもいいですね、じいちゃんばあちゃんは、被災する前は皆さんベッドで生活しているんです。それは腰が痛いからなんですよ。
- 佐々木
それは「体育館には畳を何枚で、布団を何枚」じゃないけれど、そういうマニュアルが昔からあって、そのままになっている、ということですか?
- 渡辺
仰るとおりです。そのまま。
- 佐々木
誰も違う知恵を使わない。
- 渡辺
そう。で、避難所に行って、じいちゃん、ばあちゃんにインタビューすると、「もう、腰が痛くてさ」って皆言うんだよね。当然ですよ。
- 佐々木
そうでしょうね。見ているだけでも痛そうですものね。でも、じゃあ何がいいでしょう。空気ベッドですか?
- 渡辺
簡易ベッドってあるじゃないですか。空気ベッドでも、いいですよね。
- 佐々木
私は自分の防災グッズの中に、空気枕を入れているんです。それはやっぱり避難所の映像を見て、硬そうな布団と枕なので、せめて枕は自分で用意しないとダメだとおもったからなんです。空気ベッドも、簡単なものだったら、もしかして、布団の下にでも敷いたら、少しは楽かもしれないですよね。
- 渡辺
すなわち避難所の生活で、しっかり基本的な人権まで踏まえてほしいと。あの空間って明らかに憲法違反ですからね。
- 佐々木
それは、避難所生活は短い期間の一時的なものだから我慢しなさい、という考えなんでしょうね。それから、公としてやるべきことの優先順位をつけると、そこは最後になってしまっているっていうこともあるんでしょう。でも、もしこれから大地震が都心で起きたら、ものすごく長い期間、大勢の人がそういう所での生活を強いられることになるのだろうし、意外と重要なことですね。
- 渡辺
重要ですよ。だって、そこが一番、心のダメージも大きい時期ですよ。それを、あの憲法違反の空間に人を押し込めて、「地震が起きたんだから、被災者は我慢しなさい」っていう理屈で。日本という国はこれだけたくさんの地震災害を経験しても、避難所の運営オペレーションっていうのが、実は同じように続けられているわけですよね。また日本人の被災者って奥ゆかしいから、あまり要求をしないんです。とくに高齢者は。
- 佐々木
「仕方がないな」と思って。
- 渡辺
皆、自分の中で我慢しているわけですね。その結果、何が起きるかというと、血栓ができる、エコノミークラス症候群という、とんでもない病気が起きて亡くなったり、決して良いことではないんです。
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