
今回の『カンタービレ』という小品名曲集は、「ストラディヴァリウス/デュランティ」で、とにかく第1音、みなさんに何を聴いていただきたいかと考えた時に、これだという曲を吟味しました。
それはコンチェルトでもなければソナタでもない、世界中で何百年も愛され続けている曲。そういった小品の数々です。本来、あの楽器に弾かれるべき楽曲の中で、今まで一度も弾かれたことのないものばかりだと思いますので、自分でも非常に感動があります。
病気をされている方から、特に1曲目の「愛のあいさつ」について、よくお手紙をいただきます。「コンサートに行けないので、ぜひCDをつくってください」という声が、実はもう何年も前からありました。それがやっと実現できたという思いもあります。
今回、楽器というすばらしい味方ができて、今から何でもできるんだという、自由を与えられたような気がしています。感覚も戻っているし、何を弾きたいかとたずねられたら、本当にたくさんあるんですよ。
実際のところ、わたしが弾きたいのか、楽器が歌いたいのかわからない状態です。わたしが、というより、むしろ楽器に弾かされているような、楽器自身が歌いたくて、わたしを使っているような気もします。
楽器もそうですが、この世に生まれて何百年も経っている、その曲自体が持つエネルギーというものも、きっとあると思うんですよ。ですから、わたしの音楽を待っていてくださる方はもちろんのこと、まだ聴いたことのない方々に、わたしの音楽というよりも、ヴァイオリンってこんなにいい音色がして、クラシック音楽は、こんなに感動できるんだっていうことをわかっていただけたらいいなと思っています。
そういった意味でも、クラシック通の方だけではなく、一人でも多くの方々に聴いていただきたくて、今回は名曲小品集ということにしました。
このリポートを読まれて、感じたこと、考えたことをぜひ教えてください。あなたのご意見をお待ちしています。
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