ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第91回 Carol Bellamyさん

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ワールド・ラーニング代表兼CEO、前ユニセフ事務局長
Carol Bellamyさん
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「世界を救うための10箇条」は、ありません
- 佐々木
つまり、まず問題意識を持ち、それを行動に移すということですね。
- ベラミー
そうです。問題意識を持った後どうするかは、個人の問題です。グローバル化が進んだおかげで、地球社会は、昔より遥かに狭くなりましたね。文化の多様性が身近に見えるようになって、異文化への恐怖も薄れました。
自分たちの文化とは違うからといって、それを変える必要もなければ、優越感を持つ必要もないのです。そんな風に感じる根拠がありません。
自分が生まれ育った文化に誇りを持つのはいいことですが、これだけグローバル化が進んだ今は、多様な文化の中で生きる知恵を学ぶことが大切だと思います。
先日も大学生から、「社会を良くするためには、何を勉強したらいいでしょう?」といった質問を受けました。でも世界を救うためには「これを勉強すればいい」とか、「世界を救うための10箇条」のようなものは存在しないのです。
人間は、各自が与えられた環境の中で選択を繰り返し、自分の人生と、世界の運命を決めていっているのです。
例えば自分が住んでいる地域で活動するか、それとも国際的なNGOに加わるかどうかは、個人の選択です。また、プライベートセクターで働いているからといって、自分の主義・主張をずっと押し殺しておかなければならないわけでもありません。
他人のためになることをするのは、自分のためにもなると、私は信じています。長い人生のなかで、困っている人に手を差し伸べたことが、きっといつかあなたのためにもなると、私は自分の経験を通してわかっています。
- 佐々木
私もそう信じています。お話の中に何度も出てきた「選択をする」というのは、とても大切な人生のコンセプトだと思っているのですが、実はまだまだ日本語でなじみのないフレーズなんです。
20年以上前に私は通訳の仕事をしている時、英語での「人生は選択の連続だ。自分の人生は自分で選ぶものだ」という表現方法を初めて耳にしました。このような考え方を、私はそれまで知らなかったんですね。でも、それを機会に「自分の人生を選択していく」という意識を持つことができました。それが私の行動を大きく変えました。選択という概念を理解できたら、その段階ですでにその人は、リーダーシップをとり始めている、ということになりますね?
- ベラミー
もちろん、その通りだと思います。南北問題や東西問題に限らず、小さな選択を繰返すことの基本は、自分とは違った人に対する尊敬の念を忘れないこと、そしてその文化的・人種的違いを尊重するということなんです。
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