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金平 敬之助さん
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江戸時代の有名な言葉があるじゃないですか
- 金平
確かに難しいですよ。でも、江戸時代に有名な言葉があるじゃないですか。江戸時代というのは、260数年間平和だったんですよね。3,000万人近い人口がいた国が、これだけ長い間平和でいたという国がどこにありますか? そうすると、そこで培われた生き方の知恵というのはいくらでも学んでも学び切れないほど深いものがあるのですね。
その江戸時代の人が作った言葉の一つに、「調子に乗りすぎても褒めなさい」というのがあります。
- 佐々木
「調子に乗りすぎても褒めなさい」(笑)。それは、「褒めて、褒めて、調子に乗って、全然行いが変わらない人にでも、まだ褒めろ」と(笑)? 修行ですね。
- 金平
同時に待つということも大切です。こういう話はしていると切りがありませんが。
- 佐々木
どこまで待てばいいのかと思うときもあるんですけど。
- 金平
最後までです。そう言いながら、100人に1人か2人ぐらいはどうしようもない人がいますね(笑)。それから組織は小さければ小さいほど大変なのです。人間関係にゆとりがないからです。それは、社長さんが思っている以上に、部下の方も大変なわけです。逃げられないのですから。そうでしょ?
- 佐々木
それは、その通りだと思います。全部見えますからね。
- 金平
江戸時代って、他にもたくさんの知恵があるのですよ。たとえば「束の間付き合い」というのがあります。江戸時代は、この「束の間付き合い」を大切にしていたのです。
乗合船でたまたま乗り合わせる。このとき笑顔を見せ合い、ひと言、声を掛け合って、お互いに気持ちよいひとときを過ごす。これが「束の間付き合い」の知恵です。これもやはり人間関係をよくする江戸時代の知恵の一つです。新人が入ってきたときは、「新人(一見[いちげん]さん付き合い」といって「どうしたら組織に早くなじむか」といった知恵も磨いていたようです。
- 佐々木
国際女性ビジネス会議のあの空間は、結構、それに近いものがあるんじゃないかと思うんですが。初対面の方がほとんどなんですね。7割ぐらいが初めて、そして一人ぼっちで参加しているんです。ですから、朝9時のドアオープンのときには、皆、知らない人同士なんですが、そこで名刺交換をしたり、お昼ご飯を共にしたり、あそこの空気の中で勉強していて、夜のパーティのときにはもう、全員が無二の親友のように。その「束の間付き合い」で、ものすごく皆が話して。素晴らしい。
- 金平
だから、佐々木さんは素晴らしいことをなさっているんですよ。
- 佐々木
いや、私じゃなくて、その場がね(笑)。私は仕掛け人なんです。
- 金平
その仕掛け人が、そんなことを言ってはいけないけど、「社長、どこにいるの?」という感じだからいいのです。人の集まりの理想はケチャックダンスなんですよ。ケチャックダンスっていうのは、輪になって踊るけど、リーダーがどこにいるか分からない。そのときに一番調子に乗っているのがリーダーなるそうです。
- 佐々木
調子に乗っているのがね(笑)。そうですよね。
- 金平
だから、私は任せていると皆が生きてくる、と思っているのです。江戸の知恵をここでもう少し続けていいですか。
- 佐々木
もちろん。ぜひ。
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