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日本国際ボランティアセンター(JVC)南アフリカ現地代表
津山 直子さん
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マンデラ氏は、今
- 佐々木
今、たとえば、マンデラさんは、どういう影響力っていうか、活動をされているんですか。
- 津山
マンデラさんは、大統領に就任した94年に、「自分はもう年をとっているから、大統領を1期5年の任期で終える」と言ったんですね。アフリカ諸国には、何十年も大統領を続けていたり、「2期10年まで」って憲法で決めたような国でも、その憲法をまた改正してまで長く続けてしまうようなリーダーが多い中で、「自分は5年で辞める」って言って、きっぱり辞めた。
そのあとはネルソン・マンデラ子供基金だとか、ネルソン・マンデラ財団を通して、子供の支援あるいはエイズのことなどを先頭にたってやっていて、それが共感を受けて、世界的にも支援を受けている。マンデラさんは釈放された90年に日本に来て、そのとき私は滞在中一緒に行動する貴重な経験をしたわけですが、「新しい国をつくっていくための、人づくりに協力してほしい」って、おっしゃってました。大統領になられても、その後も、ずっとそれを大切にされていると思います。
政治的になにか問題があると、南アの中でも「マンデラ氏に出てきてほしい」っていう意見もでるんですけれども、政治の表舞台にはできるだけ立たないようにされているようですね。
87歳の高齢なので、ある意味、自分がいつ……本当に、そのときが来たら悲しい、南アの人にとって、本当に悲しいことなんだけれども、「自分がいなくても、この国が混乱しないように、そのまま、これまでのように民主化あるいは成長を続けていけるように」っていうことを考えておられるんじゃないかなと思います。
- 佐々木
じゃあ、公の前に出てくる機会はずいぶん少なくなっているんですか?
- 津山
そうですね。だれもが「マンデラ氏に会いたい」っていうのがあるんですけれども、引退宣言してもそれが減らないので、もう、3回ぐらい引退宣言をして、「もう自分に電話をかけてこないでくれ。自分からかけるから、って。これは南アで人気のコマーシャルの文句をもじったものなんですが……」っていうようなことを言って。
それでもやっぱり、世界各国から来る人たちに会うことも多いですが、でも、「そういうことをできるだけ減らして、家族との時間を大切にしたい」、「自分の時間を大切にしたい」って。あと、マンデラ子ども基金などを通して支援している子どもや若者たちに会ったりする時間をできるだけ取ろうとするのも、マンデラさんらしいですよね。
マンデラ氏は「自由への長い道」っていう本を書かれて、釈放後……それが日本語にも訳されているんですよ。その後、民主化を達成したことや、自分が大統領になったあとのことを残したいと、って本も書かれています。
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