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日本国際ボランティアセンター(JVC)南アフリカ現地代表
津山 直子さん
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囲を動かすリーダーシップ
- 津山
しかし私がマンデラ氏をすごいなと思ったのは、……例えば、彼らはロベン島と言う島に投獄されていたのですが、島の中で、仲間と一緒に共闘しながら、「まずはロベン島の監獄での自分たちの生活条件を良くしよう」と動き出した。
看守はみんな白人なんですよね。で、非常に条件が悪い所で、マンデラ氏はそれに対して怒るんではなくて、まず白人の看守との人間関係を作ることによって、彼らを変えちゃったんですよね。白人看守が持っていた差別的で抑圧的な意識を、人間として、同じ目線に立つように変えて、それによって自分たちの環境も良くしていこうとしたんです。その辺はすごいなと思います。
そして困難ではあったけれども、外の人たちや亡命している人たちとも連絡を取りながら国を変えていこうと。
- 佐々木
確かに、ものすごくカリスマ性のある方だけれども、きちんと周りを育てながら歩んでいますね。彼がいなくなったら、南アはダメかとか、ANCはダメかという状況をつくっていない。そこがやっぱり、すごいところですよね。
- 津山
そうですよね。解放されたときは、まだまだ白人の右翼勢力もあるし、黒人の中でも分断されているし……っていう状況だったんですけれども、でも、白人の一番右翼の人も、マンデラ氏とは話せるっていう、そういう、人間性……南アでは「ウブントゥ」っていうんですけど。人を人間として大切にするっていう言葉ですけど……
- 佐々木
「品格」っていう言葉が、今、日本で流行っていますけど……(笑)
- 津山
「ウブントゥ」っていうのは「人間」という意味と、「人間性」っていう意味があって、人間は地位とかお金とかではなくて、その人間性がどうであるかによって評価されるんだっていう考えです。
それが、最初に佐々木さんがおっしゃっていたように、差別された中でも、彼らが、ある意味では品格とか人間の尊厳っていうのを保ちながら生きてきたっていう。それをなくしちゃったら、本当に自分たちは負けちゃうんだっていうふうに思ってたのかなって思います。
10/28
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