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関根千佳さん
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この線から向こうには行けません
- 佐々木
私は91年に南アフリカで足を撃たれているんですね。それで、すごくいい経験だったのは、撃たれて手術をして、ロンドン経由で帰ってきたんですが、一泊したホテルには、車いす用の入り口があって、フロントでは「車いす専用のお部屋でよろしいですね」って言われたんですよ。「車いす専用のお部屋って何?」って思ってね。
そうすると、部屋の入り口が広くて車いすで自分の手を使って入れるようになっている。室内も一人で車いすで移動できる幅、トイレや洗面の高さや手すり。完璧なんです。「ロンドンってすごい」って思いました。航空会社に連絡をしておいたら、ロンドンの空港のタクシーを降りるところまでちゃんとお迎えが来てくれていて、そこからも完璧なサポートで日本まで来ました。
- 関根
素晴らしい。
- 佐々木
でもね、成田空港に帰ってきたら、まず、パスポートコントロールのエレベーターが1人乗りくらいなの。車いすで入ると、成田空港の係の人が細くなって1人入るだけで、一緒だった番組ディレクターも誰も乗れない。
で、みんなはダーッと階段を駆け下りる。「どこで降りるんですか?」とか言いながら。「下で落ち合いましょう」とか言って。で、空港職員が車いすを押してくれていたのですが、パスポートコントロール出たら、ロビーの中央ぐらいで「あの、ここまでなので、お降りください」って。
- 関根
うっそ〜! そんなあ、歩けないから車いすで行っているのに、何なんですか、それはいったい(爆笑)。
- 佐々木
車いすは空港の機材で、この線から向こうにはいかれない、ここで立て、って言うわけですよ。いかにユニバーサルデザインに、施設も心もなっていないかを感じました。1991年のことです。だから、関根さんが89年にアメリカから帰国されたときの衝撃は想像がつきます。
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