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特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本 理事長
細川佳代子さん
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無理解、無関心を、ひっくり返す
- 佐々木
今、基盤作りとおっしゃったんですけれど、細川さんの頭の中で、スペシャルオリンピックスを日本に根付かせる、あるいは考え方の基盤を作るということについて、どういった構想や目標地点がありますか。
- 細川
この10年間、実際に活動して12年になりますけれど、何が一番この活動の大きなネックだったかと言いますと、大多数が、障害のある人に無理解で無関心であることなんです。まったく他人事で、気の毒に思うけれど自分ではどうにも出来ないからできたら関わりたくない。関わったら何か重い、暗い。何か重いものを引きずらなくちゃならない、なるべく障害のある人とは関わりを持ちたくない、という思いを持っている。この様な国は、私、先進国の中で、他には、ほとんどないのではと思います。
14年前にスペシャルオリンピックスに出会うまでは、私もその中の1人。それがその14年前の、ある講演をお聞きしたのがきっかけに、本当にその意識がひっくり返ったわけね。そこからこの活動を始めましたけれど、そんな、昔の私みたいな人が、ほとんどなの。
- 佐々木
それで、意識をひっくり返す機会を作られている。
- 細川
そうですね。いったいその原因は何かというと、「知らない」ということ。知らされない、知ろうとしない、その両方で。知らないということは、理解していないということであり、関心もないわけね。
- 佐々木
知ることから、大きく変わる可能性がある。逆に言えば、大多数の人の意識が変わる可能性がある。まだいっぱいある。
- 細川
そう。でも、知ろうという気持ちも芽生えていかない。なぜならば、周りにあまりいないから。いても、触れたらいけないんじゃないかと遠慮して。
- 佐々木
視野にも入ってこない。
- 細川
はい。もし見ても、ちょっと遠くで見てるだけ。近しいところにいても、遠慮してみんなその子のことには触れないことがかえっていいと思って、気を遣って。
- 佐々木
どうしたらいいか分からないってことですよね。
- 細川
そう。だから逆に気を遣って。そして、そういうお子さんを持っている家族は、やはり遠慮して出そうとしないし、話さない。社会に連れて行かない。最近は、どこへでも連れて行って体験させて、楽しい思いをさせたいっていう、前向きなお母さんが増えていて、すごくいい方向に行っているわけよ。
- 佐々木
そう思います。
- 細川
でも、過去を振り返ったときは、そうじゃない。そんなお母さんは滅多にいなくって、逆にそうしたら、同じお母さん仲間から白い目で見られたりもした。本当に社会の偏見と戦ってもくじけないお母さんくらいしか、そういうふうにはしなかったのね。だから、周りも何かこう遠慮してる。お互いが遠慮しあっていて、本当に障害のある人を、あるがままの障害のある人を知る、理解している人っていうのが社会に極めて少ないという国だったわけ。日本が。
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