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株式会社アドバンテッジ パートナーズ 共同代表パートナー
リチャード・エル・フォルソムさん
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株主価値とは
佐々木
企業価値が株価ということは未上場だとどうなるのでしょう。起業家の中でも、もう上場は魅力が無いという声も聞くし。
フォルソム
たとえば、ニッポン放送、フジテレビなどは潜在的な収益性があって、たとえば現金や資産をいっぱい持っているのに、それを活用しないっていうと、やっぱり株価は低いんですよ。そうすると、株主価値を考えていないと、考える。そういう経営がされてきているんですよね。日本の多くの企業は、旧来型の。
でも上場するんであれば、株主価値を重視して、それだけじゃないでしょうけど、株式価値をきちんと重視した経営をしなければいけない。リソース、資産の活用をしなければいけない。それをしないで放置していくんであれば、それはバイアウトされても仕方ないということだと思いますよ。
佐々木
上場しないっていう選択もありますよね。
フォルソム
もちろん、上場しないっていうのもありますよ。勝手に買えないんですよね(笑)。相手と友好にやらない限りは成り立たないんですよね。いわゆる、「Hostile Takeover」敵対的買収はありえません。未上場株は。
佐々木
これからは外国の企業もMBOをしにどんどん入ってくるでしょうし、海外の企業の株式交換も可能になり、日本企業の買収の可能性は、ますます大きくなっていきますよね。日本の経済はそれでどうなっていくのでしょうか?
フォルソム
非常にいいことだと思いますよ。活性化されると思いますし。これは、外国と日本という議論じゃないと僕は思っているんですよね。別に堀江さんは外国人じゃないですよね。日本人ですよね。そもそも、企業というのはそういうものであって……。
佐々木
まあ、本来はそういうふうに考えなければいけないって次第にわかってきているけれど、日本の今の経済の状況は世界標準からすると株価も安いし、いろいろな所の修繕が必要なような。
フォルソム
それを突き詰めれば、バブル崩壊後の十数年に渡って低迷してきたひとつの原因は、そのあたりが活性化されないからであって、その部分が本来の姿になれば、日本はいい経済成長をするようになると思いますよ。
佐々木
いい経済成長をすれば、従業員もハッピーに。
フォルソム
中長期的にそうなんですよ。結局はいろんな不整合があるわけですよね。そういう現在の経営陣、あるいはオーナーのいろんな制約条件があって、本来のその会社の可能性が最大限に発揮できてないと。
ニッポン放送もフジテレビもそうだと思うんですよ。それを実現したくないのであれば、公開しなければいいんでしょうけれども。プライベートエクイティの役割のひとつは、そういう不整合を解消することなんですよね。あるところにある事業が属するよりは、独立していって別のところに所属していった方がより経済価値が生まれるっていうことであれば、それを促進するのが我々の役目のひとつであると思います。
欧米でも、プライベートエクイティ業界の経済における影響は調べられている。ちゃんと協会もできているし、たとえば欧州ベンチャーキャピタル協会(European Venture Capital Association:EVCA)、英国ベンチャーキャピタル協会(British Venture Capital Association:BVCA)が統計をとったりしているのを最近見ました。
佐々木
数字ででているんですか。
フォルソム
はい。プライベートエクイティファンドの投資を受けた企業のいろんな指標における売上成長率、利益成長率、雇用の増加率、あるいは輸出の成長率と、そういうような側面において、それぞれの企業が属している業界の平均より高い。
例えば売上率が平均より数パーセント高いとか、雇用の増加率も何パーセント高いとか。つまり、プライベートエクイティファンドが株主になるということは、企業価値重視なので企業も成長する、利益が増える、雇用の機会が増えるということが、事実として統計で裏づけられているので、経済全体に対してのプラス影響があるはずだと思っています。
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