ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第49回 田中里沙さん

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田中里沙さん
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編集長は魔物?
- 佐々木
ところで、編集長っていう看板を背負って人の上に立つのは、どうですか。
- 田中
アメリカ人の方と、取材で出会うと、アメリカでは、プロフェッサーよりも、エディター・イン・チーフ(編集長)のほうが、ステータスもあり影響力もある、っていうんで、え、そんなすごいのかな、と思ってみたり。
あと日本では、社長っていう肩書きよりも、編集長のほうがもてるんだっていう男性の方もいたりとかね(笑)。だから編集長の名刺が欲しい、なんていうふうに言っている人もいますし。
そのくらい、編集長って魔物的なところがあって、ものすごく見えないだけに、多分昔は魅力があったと思うんですね。ですから会うとみんな「何人くらいで作っているんでしょう」って聞かれる。何もないところから作っていくので、やっぱり不思議だと思うんですよね。
でもいざやってみると、結構そんな華やかな仕事ではなくって、地道で大変な部分もあるんですけれど、クリエイティブで物を作り出していくところは、やっぱり商品開発からプロモーションっていう、メーカーの商品開発の人と、すごく近い仕事だなあ、というふうには思うんですよね。
- 佐々木
確かに雑誌の名前が決まっているだけで、毎月毎月、今度は隔週になるから、2週間に1回、商品をゼロから作るんですものね。
- 田中
そうなんですよね。それで飲んで終わりとか食べて終わりではなくって、残っていくんです。で、いろんな影響を与える仕事だと思うので、やっぱり襟を正さなきゃいけないところはあるな、というふうに思います。
でも編集長の役割というのは、ここ10年くらいですごく変わってきていて、イー・ウーマンじゃないですけれど、編集長というのは、専門の領域のコミュニティを預かる人だと思っているんですね。だからその編集長が、マーケットのことを一番よく知っていると思いますし、どんな方向に行くかを、一緒になりながら動かしていける、というような、その醍醐味があると思うので、ファッションならファッションとか、車なら車と、いろいろな雑誌があって、それぞれに存在価値があると思うのですけれど、私たちはその、宣伝とか広報とか、違う切り口で切っているので、それがおもしろかったんだろうなあ、と思いますね。
- 佐々木
編集の仕事をしていて大切にしていることって何ですか?
- 田中
取材をするときは、読者の代表として聞いているので、自分の趣味とかを超えて、今この人からこういう発言をしていただくと、読者が変わるな、とか、影響力があるなとか、自分自身がメディアだっていう感覚を持って話す、ということを考えています。それがやっぱり大事だなあ、と。
- 佐々木
田中さんは、毎日どんな媒体を見て過ごしているんですか? どんな情報源? 取材でいろんな方にお会いになるとは思うけれど、そんなに余分な時間があるわけではないでしょう。どういうふうに情報を確保していらっしゃる?
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