ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第37回 石井苗子さん

37 |
石井苗子さん
|
|
|
エネルギーを出す、ということ
- 石井
医療の世界では、大騒ぎする人に控えめにしろとは言いません。逆に我慢強すぎる人に対しては、嫌がらないで来てくださいねって言う。
待合室で腰掛けているだけでも体力がいるんですよ。病の雰囲気を跳ね返すだけでエネルギーがいる。待ってるだけで死ぬほどくたびれちゃう人もいる。人間は話しているだけでもたんぱく質を燃やしているの。笑ったりしてね、こうしてここにいるってだけでエネルギーを使っている。だから引きこもりの人はほんとに弱い。エネルギーが出ない。
- 佐々木
エネルギーを出す方法はあるわけですか?
- 石井
使った分だけエネルギーは戻ってくると考えるのが基本です。アクセルを踏まないと車が出ないのと同じ。ちょっと過激に聞こえるかもしれないけどね。よく精神病の人は何するかわからない、っていう偏見を持っている人がいます。偏見であると同時に、医学的に言っても正しくない。精神病疾患を持っている人はエネルギーが少ない。だから、そういう人を見たら犯罪者だと思え、いつ暴れるかわからないと思え、というのは間違っているのです。ほとんどの場合、病に疲れていて、強いエネルギーを持っていないからです。
だから一種の発作的な行為があっても長続きはできない。冷静沈着に対処すれば、次の日も次の日も同じ行為をするということは、ほとんどありえない。通常はものすごく衰弱しているものです。
引きこもりを治す方法としては、アクセルをちょっと踏んでエネルギーをちょっと出してあげる。そしてアクセルを離す。この揺さぶり、行きつ戻りつで、少しずつ正常に戻してあげる。本当に弱っているのですから、急激に治るというわけにはいきません。通常の人でも同じ。弱っているときはエネルギーはちょっと出して、止める、を繰り返して戻していく。
「ほら、こんなザワザワしているこの場所に30分も座っていられたじゃないですか」ってな感じで、自信を取り戻していく。弱っている人はそのぐらいエネルギーがないものなのです。今の、今日のわたしたちには想像もつかないぐらいね。
16/22
|
 |
|
|