ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第142回 吉岡徹治さん

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(株)プライム・ヒル代表、ジュニアゴルフマジック監督、代々木高等学校ゴルフ部監督
吉岡徹治さん
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スコア的には10個ぐらい上がってきたりするんです
- 吉岡
もちろん。スコアだけじゃなくて、全体のバランスで。もちろん、いいところも必ず言うんです。「君は、ここは素晴らしい。ここはちょっと。だから、ここの底上げをしつつ、いいところは、いいんだから伸ばしなさい」と。「君はすごく、このアライメント、構え方がいいので、残りのショートパット、今日、ショートしてただろう? 思いっきり打ちなさい。なぜならば、構えが素晴らしくいいから、打てば入るよ」とか。
パターですごく悩んでいる子がいました。だから、ずっと見立てていくと、構え方が目標よりも20センチぐらい左へ向くところを、発見しました。「曲がっているぞ。どうやったら真っすぐ構えられるかを考えなさい」と。で、1ヵ月ぐらい来ているうちに、徐々に真っすぐ構えられるようになってきました。「大分、前よりも真っすぐ構えられるようになってきているぞ。真っすぐ構えさえすれば、短いのは外すはずがないから信頼してやりなさい」と。で、たまに外しますね。「今のは真っすぐ構えていたけど、打つときにちょっと開いたぞ」とか教えてあげていると、段々自信ができてくる。
- 佐々木
すごく具体的ですね。
- 吉岡
そうすると、「真っすぐ構えさえすれば僕は入るんだ」と、ある日、2ヵ月ぐらいすると、自信をポンと持ってくれて、ぐっと上がってきます、スコア的には10個ぐらい上がってきたりするんです。いきなりアンダーがポーンと出たりしますね。
そうやって、折れかけた男の子が予選会を通過して、「やれる気がしてきた」と急に明るくなる子もいます。スイング的な欠陥がある子もいる。どうしても体が浮くので右に外す。右に、池に何発も入れる。泣きそうな顔になっちゃう。
そうすると、いくつかの条件を与えてあげる。「右は絶対、行ってはいけない。何があっても、右に行かなければいい。そのためには、こんなことをやるぞ」って教えていく。ミスも、許容するところと、許容しないところを作ってやる。
「こっちの失敗はいいから、でも、こっちの失敗は絶対ダメだ。伸びないぞ。こっちに行ってる子で世界に通用する選手はいないぞ」とやると、こっちは許されているんだから、許されている範囲のミスで何とかやろうとするじゃないですか。
そのためのメソッドを教えると、その子も生まれて初めて予選を通ったりとか、どこかで自信を与えつつ、「ここはダメだよ」とか「これはいいよ」とか「これは最高だけど、ここはもっと頑張ろうね」とかいうのを、ちゃんと見立ててあげると、子どもはもちろん安心して、「監督の話を聞いていれば何とかなるな」と。
一度信頼してもらえると楽ですね。だから、最初にきちんと向き合って、本人を見立てて、信頼をしてもらう。まずは向き合うこと。「俺は真剣なんだよ」と。そのメッセージが伝わるかどうかが勝負なんで、「この人に教わってもダメだな」って子どもなりに思っちゃうと、もう気持ちが入ってこないし、聞いてくれない。指導者としては、そうなったら、ちょっと失格かなと思っています。
- 佐々木
そうですね。それがさっきの安心環境なんでしょうね。「この先生だったら自分を育ててくれる。教えてくれる。伸ばしてくれる」っていうのは、安心ですものね。具体的に、いいところと悪いところを教えてくれる。
- 吉岡
最初、キャンプを始めた頃は、そこはプロの領域だろうと思って手をつけなかったんです。いい環境を整えて、「頑張って皆で仲良くやりなさい」と1年ぐらいやっていたんです。けれども段々とやっぱり、指導してほしい、アドバイスがほしい、よかったら教えてほしいっていうのが増えてきたので、今、また勉強し直しているところです。その道の専門家の人と、道具だったら道具の専門家の人、教えるんだったらレッスンの専門の人と、今後いろいろミーティングをしたりとか、海外なんかに勉強しに行ったりして、さらに専門性を高めていかないと。
もっと自分が勉強しないと、まだ分からないこともたくさんあるので、ようやくチームを立ち上げて、2年目にして、そういった領域もやっていこうかな、と思い始めたところなんですけれども。
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