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川本裕子さん
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古い家族観によって作られている制度を一気に見直してほしい
- 川本
もう一つ新政権に期待しているのは、すごく古い家族観みたいなもので残っている制度がたくさんありますよね。たとえば配偶者控除とか、男の人は18歳でないと結婚できないけど、女の人は16歳とか。何で違うの? 変でしょう?
- 佐々木
そもそも離婚も同じですよね。男の人はすぐ再婚できるけど、女性は6ヵ月待て、みたいな。
- 川本
その辺の、古い家族観によって作られている制度を見直してほしいと思います。もちろん専業主婦という価値観はあってよいと思いますが、これだけ財政が厳しく家事労働が技術革新で簡易になる中、人の妻をしているだけで税制で優遇される時代はすでに終わっていると思うのですよね。実際、共稼ぎ世帯の方が多くなっているわけだし。それに収入をいくらにおさえれば優遇されます、という制度は女性をそれ以上働かせない結果にもしている。
- 佐々木
そうですね。それから夫婦別姓もそうですね。長い間進んでない。選択権として認められるといい。戸籍制度だって見直したいです。非嫡出子だと遺産相続で対等な配分がない、というようなことも議論すべきだと思う。一票の不平等や選挙権が20歳から、といったこともよく話し合って見直してみる必要がある。
- 川本
あとITリテラシー。今までのITリテラシーの低い永田町に合わせていたわけですよね、大物議員とかに。若い人が有利になるのは困るのか、公職選挙法違反とかいってインターネットでの選挙活動を認めていない。でも、今度、国会議員の年齢層が下がり、女性も1割を超えて、十分かどうかは別にして、普通の国民の集団にやっと近づきはじめた。ですから、これはおかしいんじゃないか、と普通の人が思い、各国でやっていることぐらいは、やってほしいですよね。もう一つ、子ども手当は、社会をすごく大きく変動させる可能性があると思って、期待しています。
- 佐々木
それは、たとえば、どういう?
- 川本
民主党のマニフェストで私が一番感銘を受けたのは、「社会で子育てをする」という文言だった。子どもは社会の財産なのに、日本って、そういう意識がすごく欠けていて、家庭に非常にしわ寄せ、しかも母親にしわ寄せという時代が長く続いていたと思うのですよね。
で、子育て手当ては従来の発想の転換の試みです。これまで無視されがちだった若い世代を大切にすることになるし、少子化の解決にも貢献するでしょう。将来的に年金制度の健全化につながっていきます。もちろん少子化には保育所の手当てとか、日本の長時間労働をどうするか、とかの議論もセットでする必要があります。ただ、「社会で子どもを育てる」姿勢を政府が確立すれば、人々の意識や経済構造はきっと変わってくると思うのですよ。
今、専業主婦で子どもがいないと損をするとか得をするというようなことがとりあげられているけれども、今日明日はそうなのかもしれないけれども、年金の考え方は世代間扶養で、子どものいない人達の年金を支えるのも子ども達の世代です。将来の経済を担う子どもたちが増えれば、自分達の年金を支えてもらえる。その視点を欠いて、損だ得だという議論は単視眼的で、ちょっと悲しかったです。
6/20
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