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リシャール・コラスさん
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ブランドを「活かす」ということです
- 佐々木
そういう哲学、マドモアゼル シャネルのストーリーは、会社に入社してから社員全員が学習する時間があるんですね。マドモアゼル シャネルの生き方を、どうやって日々の仕事に活かすのかを。
- コラス
もちろんです。簡単なんですよ、彼女のスピリットを活かすというのは。ある状態のままでいるのではなくて、次のことを考える。新しいことを提案する、ボーダーラインを超える。
私がいつもうちの社員に言うことなんですが、ブランドを守るということがよく言われるけれども、我々の仕事は「守る」ことではなくて、ブランドを「活かす」ということです。ブランドを活かすということは、ブランドのフレームがどこにあるかを学ぶという事。その勉強はブランドを守るためだけでなくて、もっと大きくするために。
- 佐々木
発展させるためですね。
- コラス
どこか一か所だけ引っ張ったらおかしくなってしまう。だから枠がどこにあるかは分からないといけないので、まずそれを覚える。それは何年もかかるかもしれません。そして枠がどこにあるか分かってきたら、いろいろ引っ張って引きのばしてみる。私の中では漫画のようなイメージなんですけれど、小さな人間がいて、壁を押したり、天井を押したり。
- 佐々木
ストレッチさせるということですね。
- コラス
そういうことです。それが、マドモアゼル シャネルのスピリットを活かすということです。これは社長の仕事とかトップの仕事、それはもちろんですけど、一人一人の社員が自分の仕事の中で、自分の枠を一生懸命広げる。
- 佐々木
でも、マドモアゼル シャネルの生き方の形は変わらず、すべてが活かされているわけですね。
- コラス
冒険的に新しいことを考える。たとえば弊社の専属デザイナーのカール・ラガーフェルドは全くそのとおりなんですね。彼はいつもリミットを超える、自分で時代を読みながら新しいことを提案する。マドモアゼル シャネルも自分で時代を読みながらやっていたんですね。どこかにポーンと飛んでいったのではなくて、時代を読んで。
- 佐々木
半歩先、一歩先を。
- コラス
いつも誰よりも一歩先だったんですね。
- 佐々木
その時代の女性たちもシャネルが提案するようなファッションや生き方をあこがれて、受け入れたからこそ、商売がうまくいったということですよね。
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