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リシャール・コラスさん
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コルセットを外し、女性のためのファッションをつくりました
- コラス
3番目の顔というのが、デザイナー、ということです。ここにもロジックがあるんです。帽子からスタートしたけれど、「これからの女性は自由であるべき」と、トータルファッションをつくったんですよね。女性を自由にするファッション。それまでは、何しろ女性は自由ではなかった。女性は体も自由じゃなかった。活発に、モダンな生き方をするのには、コルセットなど不便な服ばかりだったので、女性が自由になることが難しかった。
- 佐々木
コルセットでギューッと締めつけられて。
- コラス
はい。長いスカートと長い髪。毎日手入れするのに1、2時間かかっていたとも言います。だからマドモアゼル シャネルはショートカットにし、コルセットを外し、女性のためのファッションをつくりました。ものすごいロジックがあったんです。
- 佐々木
何がきっかけだったのでしょう。
- コラス
自分が自由な生き方をしたいということだったんですね。馬に乗るとき、当時の女性はみんなロングスカートで乗ってた。これはものすごく不便だということで、彼女は男のパンツをはいて乗ったとか。これも、ものすごいロジックがあったんですね。
コルセットというのは動かなければ息苦しくないのかもしれないけれど、活発に動こうとすれば息苦しい。だからそれを外して、男のシャツを着て、男のパンツをはいて、「この方が便利だな」と。ただ女性の体には合わないから直していこう、ということです。いつも自分の生活にプラクティカルなものを求めていたんです。
女性のジャケットを作ったのも彼女ですが、そのジャケットのポケットにいろいろな物が入れられる。それに、ショルダーバックをつくったのも、シャネルなんですよ。手に下げるハンドバックしかなかったのに、その持ち手のひもを長くして、ショルダーバッグをつくりました。それで、手は自由になる。
リップスティックを作ったのもマドモアゼル シャネルなんです。口紅は、それまでは、非常に面倒臭いもので、家でしか使えない練り状のものだったのですが、携帯できるようにと、今のスティック状に変えた。よく考えてみたら、当たり前な歩み方というか。
- 佐々木
いえいえ、その当たり前の発想が、大事なんですよね。社会の制約もある中、世の中の万人がコルセットをしていて、みんな嫌だなとか、窮屈だなと思っていても、実際に外して家の外に出ることはものすごく勇気が要ることでしょう。
- コラス
ガッツですよね。すごくガッツがあるんですよね。
- 佐々木
根性というか、信念があったということですよね。彼女は、どうしてそんな信念をもったのでしょう。先ほど孤児とおっしゃったんですが、どういった環境の中で、どんな刺激をうけて、彼女はそういう人になったんでしょうか?
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