ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第132回 金子郁容さん

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慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長、教授
金子郁容さん
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自分の意見を言ってもらうことから
- 金子
イー・ウーマンでいろいろな人から意見が出るというのは、すごく大事なことだと思う。今はネットだろうと、大学の講義の教室だろうと、自分の意見を言うということが、すごく少なくなってきたでしょう。「今の若者は」って言うと、歳を取った証拠なのかもしれないんだけれども。SFCでさえね、自分の意見を言う人が少なくなってきた。それは良くないと思うよね。「自分は、自分は」っていうのがいいと言うわけじゃないけど、「私はこう考えている」ということをみんなの前で言うことに、今、皆が憶病になってきた。
- 佐々木
そもそも日本語だけで考えると、「I statement」で話しにくいこともあるかもしれません。
- 金子
主語を言わない議論が多い……。
- 佐々木
私はよく、「ネットワークとはネットがワークすること」すると説明するんですけど、世の中が良くなるためには、個が貢献する必要があると思うのです。魅力的な「個」と「個」がつながって、互いにワークし合う。つまり機能し合うように、つながっていくのがネットワークだと思っています。
でも、どうも日本の中には全体論を述べることはあっても、「個」を限定するということがなされていないから、そもそも貢献の精神を学ぶ機会が少ない気がするんです。これを少しでも刺激していかないと、私はソーシャルキャピタルが高くならないんじゃないかと思っているんです。イー・ウーマンの円卓会議はそのためにあるようなもので。
- 金子
そうね。うわさ話だけだったら、ソーシャルキャピタルにはならないから。やはり自分から一歩踏み出すことが肝心です。大げさなことでなくても、「私はこう思います」ということが、踏み出すことになって他の人の意見も引き出す。私は、よく地方の学校を訪れるのですが、地方人の方が、都会の人より率直に意見を言うる。例えば、伊座利なんかはものすごく意見が出る。他人の思いやるのと同時に、意見も遠慮なく言うのです。
- 佐々木
行ってみたくなりました。
- 金子
それでいて、配慮はしてくれて、すごく温かい感じがする。例えば、私は生魚が苦手でしょう。伊座利は魚が特産品なわけ。お互いに「これは困ったな」っていう状況ですよね。そこで、彼らは、とれたてのイカとかをあぶってくれたりするわけ。生魚が好きな人にいわせれば、とれたてをわざわざ炙るというのはもったいないことでしょうけど。お互いを認めた上で、いいたいことは言うという雰囲気がある。
- 佐々木
リスペクトがあるというわけですね。
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