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防災・危機管理ジャーナリスト、まちづくり計画研究所所長
渡辺実さん
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PSPのゲームになります
- 渡辺
実は、まずお母さんたちを教育しなきゃいけないという課題があるわけですね。じゃあ20代から30代前半ぐらいの世代が、日常から防災あるいは減災の情報を受け入れるかっていうと、今までの常識とされる専門書や防災マニュアルは絶対に読まないですよね。
- 佐々木
それで、漫画をつくったりしたんですね。
- 渡辺
我々、専門家側が、そこに気がつかなきゃいけない。『彼女を守る51の方法』という漫画コミックスに続いて、4月末に発売される『絶体絶命都市』というタイトルのPSPゲームソフトの監修をしましたが、要はゲームですから、ゲーム性を損ねず、魅力のある、楽しいゲームの中に、どうやって僕が伝えたいメッセージを入れ込んでいくか。漫画もそうだったのですけれども、僕からその世界の中に入っていかないと、「監修しますから、作品を持っていらっしゃい」っていう姿勢では、絶対にメッセージが伝わらないし、作品は作れないんです。
『彼女を守る51の方法』は、まさに若い世代の女性ライター達にお願いしたんです。「渋谷の街に行っておいで。センター街や、東急の前で、『ここで大地震があったら、どうなる? 何が必要? 何があるといい?』みたいなことを考えておいでよ。それをラフネタとして、まず持ってきてください」と。そうしたら、今の時代、インターネットを使えば何でも分かるから、そういうものを集め連ねて書いてきたんです。でも僕の目から見るとすぐ分かるんですね。
- 佐々木
そうでしょうね。何だか上辺だけというか。
- 渡辺
うん。それで、僕は、皆が見ている前で1人の子のシナリオを破ったんですよ。「こんなつもりで君たちを呼んだわけじゃない。悪いけど、僕らの目から見ると、分かるよ。こういうセンスで、この仕事に関わろうとしているんだったら、ここから先は、君たちは仕事ができないと思うから、これは破るよ」と言って、目の前で破ったのね。そうすると皆、唖然とするわけですよ。「そんな話、聞いてない」ってね。
で、僕の思いを話して、「1週間後に、もう1回ラフがほしい。僕がイメージしているのは渋谷だから、渋谷の街に行って、そこで彼とデート中に地震に遭ったら、それも朝、昼、夜、時間帯を変えて」みたいなヒントを与えて、再度書いてもらったのね。
そうしたらやっぱり僕も知らないようなことも書いてくるわけですよ。想像もできないような部分も。で、そこからコミュニケーションが始まって、彼女たちライターの世代の防災マニュアル本を作り上げていったんです。
16/22
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