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野口悠紀雄さん
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食料自給率は、低ければ低いほどいい
- 野口
アメリカの農業の生産性が高いのは土地があるからですよ、これは間違いないですね。これは日本ではできませんから。ああいう高生産性農業は難しいですよ。でもそれでも問題に何もなりませんよ。日本は自動車を作って売って、小麦を輸入しているんですから。
- 佐々木
でも、日本の食料自給率は40%ぐらいだから。
- 野口
それが大問題なんです、いろいろな意味で。食料自給率は、低ければ低いほどいいんですよ。自給率が高くったって何のいいこともない。それが比較優位の理論なんですよ。
- 佐々木
食料の自給率が低い方がいい?
- 野口
低い方が豊かになりますよ。だって日本の戦後で自給に固執したら、日本はこんなに豊かな国になっていませんよ。
- 佐々木
でもこれから地球全体で食料不足だって言われていて。
- 野口
その問題は食料品の価格が高くなるということで、量が不足することではない。価格が高くなることによって、一番大きな被害を受けるのは、アフリカなどです。日本はそれとは全く無関係。もともと外国から輸入しかしていないし、著しく高い価格ですから、世界の食料品価格がいくら高くなっても基本的には問題がない。もし価格を下げたいなら、関税率を下げればいいだけの話で。
- 佐々木
そうすると関税率が高いだけから、今後食料が不足して、食料の値段が高くなっても日本は食料不足になることはない?
- 野口
あり得ないですよ。それに食料品の価格が高くなっているということは、食料の生産が増えるということですから。ブラジルの耕地化可能な面積の2%を超したければ、日本の農地と同じだけの面積ですからね。
- 佐々木
それでも木を切り倒さなければいけないということになったりするんじゃないですか?
- 野口
耕地化可能な。だからアマゾンの密林を開拓するのではないわけですね。いずれにしてもね、食料問題はきわめて誤解されているんです。全くメチャクチャですね、日本の食料問題は。
- 佐々木
それは、どうしてメチャクチャになってしまうんですか?
- 野口
それはバカだからですよ、国民が。自給率を高めろというのは、食料の生産者の理論なんです。高関税を維持したいからなんですよ。米の関税って300%ぐらいですからね。それは大変だ、大変だって危機感をあおらないと。とっても有利ですよ。だからああいうメチャクチャな高関税を維持するためにはね、米が食べられなくなったら大変じゃないかという危機感をあおる必要があるので、それにまんまと乗せられている。
- 佐々木
マスコミも全く正しく理解していないから、そういうことになっちゃっているということですか。
- 野口
そうです。恐ろしいことですね。
- 佐々木
この対談をちゃんと読んだ方が、調べ、考えていただけるといいです。
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