ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第117回 岩切茂さん

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建築家・株式会社TEAM IWAKIRI JAPAN代表取締役
岩切茂さん
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僕のことを息子のようにかわいがってくれて
- 岩切
さっきのオフィスの場所も、不動産情報誌みたいなところには出ない物件なんです。国立公園の中だから。
- 佐々木
え? 本社が、国立公園に?
- 岩切
で、そこの大家さんが、たまたまローマで一番古い園芸店というか庭師で、その人と、たまたまトヨタの本社をやったときに知り合ったんですね。で、そこの親父がものすごく僕のことを息子のようにかわいがってくれて、自分でやりたいと思ったときに、「場所を探して。2年間は家賃を払わないけど、いいでしょ?」と言ったら、「分かった。来いよ」と言ってくれたのが、あそこで。今は法外な家賃を払ってますけど、2年間は「金が入ったら払う」みたいな。
- 佐々木
素敵。
- 岩切
こういう感覚って、ちょっと不思議かもしれないですけど。同じムサビの子でも、ムサビって、デザインのほうに進んでるやつは、大企業とかの引き合いもたくさんあって、すごく明るい将来なんですよ。
だけど、絵画をやってる子、たとえば日本画とか彫刻とか油絵とかだと、「お前ら、将来、何するんだよ?」って。何の夢もないわけですよ。だけど、絵が好き、とか。
そうすると、画材屋さんが周りにあって、大体そこの画材屋に、卒業するまでに、ものすごい借金をするんだよね。「金なら払えん」みたいな。そういう感覚っていうのは我々にもあって、「できたら払うよ」って。
- 佐々木
そうしたら、イタリア人の人は「いいよ」って?
- 岩切
「いいよ」というか「じゃあ、俺のところにいろ」と。
- 佐々木
私達は、今、表参道の交差点にオフィスがあるんだけど、オフィスを探していた頃、バブリーな時期で、物件を見にいって「いいな」と思うと、賃貸契約書に「株100株贈呈」とか書いてあるの。家賃を払う上に、会社の株も出せ、みたいな。ひどい大家さんに何人も会ったんですね。
そうしたら、今いる表参道のオフィスのオーナーに出会い、とっても親切にしてくださったんですね。彼は、銀座の呉服屋さんの経営者で、私に、「自分の会社は百年続いてきて、一度も赤字になったことはない。全部お客さんは女性で。だから女性に助けられた。で、佐々木さんのような女性の社長が、女の人のための会社を作ろう思っているのは、これはご縁です」って言って、「起業は大変でしょうから」と言って、「保証金とかを1年か2年で、スライドで払いなさい」とか。バブリーな、「何株くれ」とか言っている時期に、本当にわかってくれて。
- 岩切
そういう縁ってあるんですね。もう本当に、そういう世界。初めの頃って、何も仕事がないじゃないですか。だけど、やっぱり10年以上つきあってきた家具屋さんとかが、「これ、使えよ」って家具を持ってきてくれたりして。だからイニシャルが、ほぼ、かかっていない。
- 佐々木
そうは見えない、素敵なオフィスですよね。でも東京では、なかなか実現しない広さっていうか、空間。
- 岩切
空間的にはね。
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