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長坂将志さん
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やっぱり旬の野菜じゃないと
- 長坂
やっぱり旬の野菜じゃないと、その野菜が持っている栄養分とかそういうものって発揮しないですよね、基本的には。今世の中って全部嘘を並べているだけで。だから、実は、旬に取れたものを冷凍して、時期が外れたときに、旬のときの取れた何々です、って出したほうがよっぽどいいんですよ。でも、そういうのが誰目線で行われているかってなんか、間違った感じになっているんです。
- 佐々木
本当にそう。野菜も果物も一年中あって。実は一つのピーマンだって、時期によって全然ビタミンCの量が違ったりしてるだろうし、育った場所で栄養も違ったりするでしょう。それを知らずに食べていくと、よくないですよね。
- 長坂
そう。やっぱり便利になりすぎちゃいましたよね。本来の、本当の楽しみをなくしているんです。ピーマンをある時期まで待つって喜びが本来あって、ありがたく食べるのに、それがなくなっちゃってますからね。
今、料理の世界は注射器使って、なんか食感がああだとかって科学的なほうに走ってますけれど、ぼくはもう、逆に戻りたいと思っているんです。原点に戻って、それを踏まえた上で何か、生産のところから、一生懸命やっていきたいな、なんて。
- 佐々木
私たちが提案しているライフスタイル、シンプルオーグも似ていますね。シンプルはいろんなシンプル、人間関係も含めてシンプルがあるんだけれど、オーガニックって、別に有機農栽培だけのことを言っているのではなくて、無機質に対して、無機質の反対語としてのオーガニックと思っているんです。ITが冷たいと思う人がいる中で、そうじゃなくて、例えば人と人の体温を感じる会話ができるとか。
だから食べ物の有機農食材を選ぶのも、有機農法で育てましたということのみを求めているのではなくて、愛情を込めて丁寧に作りました、というところが、結局は大切だったりして。
- 長坂
うん、そうですね。
- 佐々木
たぶん、有機農で育てている人の愛情も加わって美味しいのかもしれない。人がどんな想いでそれを作ったか、育てたか、料理したかとか。それ全部がオーガニックな感じになってくるのがいいですよね。
- 長坂
最高じゃないですかね。そうならないと本来はおかしいですよね。はい。なるほどね。色々考えられてるんですね。
- 佐々木
(笑)少しだけね。……今日は、オープン前のお時間いただき、ありがとうございました。また、食事させていただきます。
対談を終えて
フランス料理、というと気取った感じがありますが、MASAさんの「おもてなし」には、そんな気どりがありません。人間味のあるオーガニックなおもてなしで魅了するMASAさんは、天才的な味のコンビネーションをつくりだすプロの顔をもっています。でも、今回の対談では、シェフと顧客、として初めてお会いしたときには見えなかった「やんちゃ坊や」(失礼!)の自由奔放な側面が垣間見えました。多様な側面を持っていることが「本物」への要素なのかな、と考える一時でした。……また、隅々まで意識のいきとどいたクラクラするほどセダクティブな料理、楽しみにしています。
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