ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第110回 長坂将志さん

110 |
長坂将志さん
|
|
|
デザイナーに言ったのは2点
- 佐々木
そのスタッフたちに、レストランのよさとか、ビジョン伝えることが何より大切だと思いますが、その前のレストラン作りについて、教えてください。オーナーシェフとしてお店を作るとき、何を意識して、どのような組み立てで作っていくのですか。お店には、色々な要素がありますよね。当然、建物のデザインもあれば、どういうスタッフとチームを作るか、どんな服を着るのか、どんな音楽を流すのかとか。
- 長坂
そうですね。一個一個、今おっしゃられたような要素って、追究しつくすと、無なんですよ。もう何もなくなるんですね。
たとえば音も、いろんなものが好きな人がいらっしゃる中で、じゃあどれを選ぶかって、一番当たり障りのないのが、音楽がないこと、なんですね。で、かっこいいことをよくレストランの人たちが言うんです、「お客様が音を作る」みたいな。
だからそういうところで突き詰めて行っちゃうと、結局、最大アピールできるのは、今の自分よりもちょっと背伸びした自分しか出せない。自分はそのよさをまだ知らないのに、何となくいいと思って、背伸びして出す、みたいなところに、落ち着いちゃいますよね。
デザインもそうだと思うんです。このお店を作るときに、今までこのお店の前の会社のときは、14店舗くらい、デザインも含めてやってきましたけれど、これはもう駄目だ、自分の意見をあまり出すとおかしなことになるな、と思ったんですね。というのは、やっぱりデザイナーって、四六時中デザインのことを考えて、ずっとそれを追究しているわけじゃないですか。そのプロなわけですよね。
だから、この店のことで、ぼくがデザイナーに言ったのは2点。まず、絶対に、誰が見てもゴージャスだと思うようなものは入れないでくれって。シャンデリアとか、そういうものを絶対使わないでほしい、と。本物の素材感で、最終的には豪華に見えるという考え方で作ってほしいということ。あとは、すごく逃げの言葉として、僕っぽい店を作ってくれ、って。
その2点しか言わなかったですね。で、模型が出てきたときに、もう、これでいいじゃないですか、すばらしいじゃないですか、と。あんまりにも軽々しく言っちゃったものだから、あとで失敗事項もいくつかあったんですけれどね。
- 佐々木
それは何だったんですか?
4/27
|
 |
|
|