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宮嶋泰子さん
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取材をさせていただいて一番面白いなと思ったのは、聖子さんです
- 佐々木
今でもお付き合いのある選手たちの中には、宮嶋さんご自身の人生にも大きく響いている人、たくさんいらっしゃると思うんですが。
- 宮嶋
それはやっぱり、取材をさせていただいて一番面白いなと思ったのは、橋本聖子さんですよね。橋本さんは、今は議員活動をされているので、今はなかなか番組を作ったりする事はできないんですけれど。彼女は私より10歳若いんですが、選手当時から彼女のメンタリティーは50歳だって言われていたんです(笑)。よく監督が、「聖子は50歳だから」って。
もう本当に、気配りから、自分を冷静に客観的に見る方法は秀逸でした。「もう一人の私が自分を見つめている。もう一人の自分をいかに作るか、という事が重要だ」っていうのも聖子さんだし。
- 佐々木
聖子さんに注目して、スポットライトを当てていったのも、宮嶋さんですものね。
- 宮嶋
そうですね。そういう意味で言うと、自分の極限をどんどん開拓して世界の中で勝負して、30代まで競技を続けるプロ意識を持った女性選手のはしりだったように思います。脳科学者が「自分の脳の中で、使われているパーセンテージは10パーセントにも満たない」って、よく言いますよね。橋本さんに「あなたのトレーニングは何ですか?」って聞いたら、彼女は、「自分の中で眠っている可能性を引きだすために扉をノックするようなものだ」って。
- 佐々木
素敵ですね。
- 宮嶋
素敵でしょ。彼女はものすごく哲学的な事を言うんですよ。だから、私達が勉強をするのも、いろんな事をするのも、たぶん、そういう事なんだろうなと思って。
- 佐々木
そういう言葉は、出会ってから、どのぐらいで聞けたんですか?
- 宮嶋
そんな事、分からない(笑)。どこのインタビューで出てきたのか、分からないけど。
- 佐々木
だけど、すごく深いじゃないですか? 宮嶋さんが無名だった彼女に注目して、ずっと長い間、何度もテレビでストーリーを見せていって、人々が彼女に惚れ込んでいった。そんなスター選手の一人だと思うんですけど、きっと、その取材過程でそういう言葉に触れたから、宮嶋さんご自身ももっと取材をしようと思ったのでしょうし、そういうふうに聞いてくれるから、彼女も宮嶋さんに話そうと思ったりするって事なんでしょうね。
- 宮嶋
そうかもしれませんね。普通だったら、一人の人で13回も番組を作れないですよ。ましてや彼女の場合だと、スピードスケートという、映像的にフィギュアのように華やかで皆がパッと見るものではないわけだし。唯一あるのは、途中で顔が崩れるぞ、というぐらいで(笑)。でも、何でこれほど彼女の番組を何度も作ろうと思ったのかというと、「何でこの人は、ここまで自分を追い込むのかな」という、その追い込み方が普通の人と違う。それが一つ。
二つ目は、それを裏づけする哲学的思考が、きちんとできる人だということ。彼女は、自分が迷った時に、自分が尊敬しているご住職の所に行って、よくお話を聞いてくるそうですけれど、彼女自身も、すごく自分の深い所を探ろうとしている人なんですよね。だからだと思うんです。
10/24
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