ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第101回 渋谷 和宏さん

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渋谷 和宏さん
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ようやくコンセプトが見えてきた時ですよね
- 渋谷
実はその頃、かなり悩んでいたんですよ。別冊ではある程度の結果を出しましたが、別冊と定期刊行物は全然違うということがわかってきたんです。定期刊行物は統一したコンセプトに基づいて、毎号違ったコンテンツで読ませていかなければいけない。ではそのコンセプトとは何か。それをまったく見つけられない……。
しかも2001年当時、20〜30代向けのビジネス雑誌は3誌あったんですが、どれも苦戦していて、とうとう3誌とも1年もたたずに休刊してしまいました。ある雑誌などは最後の号の巻頭に「なぜ、20〜30代向けのビジネス雑誌はうまくいかないか」などという記事が掲載されたりしたんです(笑)。
要するに20〜30代向けのビジネス雑誌はうまくいかないというのが半ば常識になっていて、僕が進めていたプロジェクトについても周囲は懐疑的でした。ある広告会社の人からは「悪いこと言わないから、やめた方がいいよ」と諭されたりしましたね。
- 佐々木
でも、結局10万部を突破して、大成功だとは思うんですけど。
- 渋谷
その後、片端から20〜30代のビジネスパーソンに会って、「既存のビジネス誌に対して何か不満がありますか?」と尋ねて回ったんです。もう、わらをもつかむというか、雲をもつかむというか、そんな気持ちで……。
それで、ある時、30歳ぐらいの広告会社の男性が、「僕、日経ビジネスを取っているんです。すごく面白くて、よく取材してあって、お取引先に行く前などには、その会社について書かれた記事のファイルを読み直したりしています」なんて言われた後に、こう続けたんです。
「日経ビジネスや週刊東洋経済のような既存のビジネス誌って、何か、遠いんですよね」「それは、どういうことですか?」と聞くと、「いや……ただ、遠いとしか言えない」。
以来、その言葉がずっと引っかかっていました。で、ある時、はたと気がついて、そういえば既存のビジネス雑誌は「トヨタの戦略」や「日本経済の構造的な問題」など組織やマクロの動向についてはきちんと取材して書いている。グローバル化の進展、成果能力主義の企業社会への浸透といった今後の変化についても分析を加えている。
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