ホーム > サーベイリポートデータベース
中国が旺盛な経済需要を充たすために、石油だけでなく、石炭、鉄鉱石などで、積極的な資源外交を進めています。
資源外交とは、石油などの資源の安定的な確保をめざした外交のことで、資源国への経済援助などの外交関係を深めたり、資源国に直接投資をして資源を確保する「開発輸入」をしたりするなど多様な方策があります。1970年代の石油危機で資源に目覚めた日本は、中東諸国などへの積極的な資源外交を進めました。しかし、世界的に1次産品の価格が下がったのを背景に、必要なものは市場で買う、という発想が日本でも強くなり、とくに石油の自主開発には消極的になりました。
しかし、石油をはじめ1次産品の値上がりが目立つなかで、中国の石油会社による米国の石油大手ユノカルの買収計画など、中国の資源外交が気になってくると、日本は大丈夫かという疑問も出てきました。中国やインドの経済成長を考えると、資源問題は石油などの鉱物資源にかぎらず、食料などに広がる可能性もあります。売り手市場になると、資源のない日本が根底から揺さぶられるのは確実です。
その一方、資源にこだわり、「日の丸石油」のように、原産地での開発に力を入れると、投資リスクにとどまらず、海外での権益を維持するための安全保障も考えなければなりません。日本の油田やパイプラインを守るために自衛隊を出す、こともありえない話ではありません。
日本は「資源外交」の是非を考える時期にきています。ということで、「資源外交」を積極的に進めることに賛成か、反対か、中国の動向をにらみながら、私たちも真剣に考えてみたいと思います。