ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第89回 財津 和夫さん

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財津 和夫さん
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コンセプトは、フェアリーテールのような
- 佐々木
(笑)でもそうとは言え、種に栄養をあげないと芽は出ないわけだから、さまざまな蓄積がある、っていうことですよね。そのときに外から、曲作りのための情報収集といわなくても、日常の中で、本を読まれたり、人の言葉に耳を傾けたり、映画を見たりするときに、いろんな、シーンとかストーリーとか、あるいは言葉とか表現方法が記憶に残っていたりしている、ということなんですね。……メモを取ったりはされないっていうことですね。
- 財津
そんなにマメな男じゃないんで駄目なんですけれど。やっぱり、子どもの頃に、見聞きした、すごく古典的なというか、普遍的なというか、そういうコンセプトがありますよね。
例えば、フェアリーテールのようなものとか。いくらでも拡大解釈できて。ですから抽象的な言葉になっちゃうんだけれど、そういうものを子どもの頃に一杯聞いて、見て、それをどうも転用しているような気がしますね。自分で分析するのもなんですが。
だから、あまり社会、大学を出てから……出てないか、中退か(笑)。社会人になってから入ってきたものは、きっと、そういう、作品には反映されていないと思う。
- 佐々木
それは、意図的に、ですか? 今考えてみると、と。
- 財津
いえいえ。できないんですよ、そういうことしか。意図的に、って、さっきも言いましたけれど、二手先、三手先を、詰め将棋なんて絶対できない人間なんですよ。
- 佐々木
ああ(笑)。やっぱり作曲しようと思うと、自分の中にある昔の体験から出てくる。
- 財津
多分そうだね。
- 佐々木
きっと何か、すごく原点に戻りたいというか、原点から出発したいという気持ちが強いっていうことなんでしょうね。
- 財津
そういうことかもしれませんね。フェアリーテールっていうのは、いつの時代も読まれるし、やっぱり心の奥に入っていく話じゃないですか。あるときは残酷だったり、でもやっぱり、人間の営みの核心をつかんでいるような話って多いですよね。だからきっと、そういう作風として、そういうものを選んだんだと思うのね。
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