ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第82回 丹下 一さん

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丹下 一さん
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演劇って授業は、幼稚園からあります
- 佐々木
子ども達にも役に立つんですね、きっと演劇。「演劇の勉強」って言わないのかな?
- 丹下
いや、僕、国語・算数・理科・社会もとても大事だと思うんですけれども、あれは脳の半分の方の勉強じゃないかと。本当はそうじゃないんだけれども。僕は大事な科目というのは、音楽と美術と、あとは演劇。演劇って授業を作ってほしいですね。
ロシアとかポーランドとか東欧には、演劇の授業は幼稚園からあります。イギリスなんかシェイクスピアの国だから、戯曲って授業が別にあります。
例えば、ロシアの幼稚園の演劇のプログラムを見せてもらったことがあるんですけれども、例えば極端な例で言うと、「白雪姫をやりますよ」って言って、「じゃあ、今回の主役のお姫様は、誰ちゃんにしよう?」っていうのが、まず一つやり方としてあるとするじゃないですか。
ロシアの幼稚園では「今日は演劇の時間です。皆は、どんな役をやりたいですか?」って言うと、女の子8人くらいは「お姫様」とか言うんですね。一人ぐらい「ウサギさん」とか言って、男の子で「僕はクマ」とか言ったりするんです。時々、すねた子がいて、「僕は岩」とか言ったりするわけですよ。そしたら、皆が役を出したところで、「じゃあ、これだけたくさんのお姫様と王子様とクマと岩」って、皆のを全部言ってあげて、「それが全部出てくるお芝居を、これから皆で考えよう」って言うんです。
それで皆がいろんな、「じゃあ、あなたはどんなお姫様ですか?」って、「あなたはどんな王子様ですか?」って、もう、子ども達からいっぱいアイディアが出てきて。「私は、こんな格好いいお姫様なの」っていうと、「じゃあ、そんなお姫様が歩いたら、どういうふうに、その次はクマに会うの?」とか言って、クマが「ガオーッ」とかなんとか言って、お芝居を作っています。それが演劇の授業なの。
上から課題があって、「あの人はお姫様」って、「お姫様はこんな台詞を覚えなきゃいけないんだよ」とかっていうのは全然ないですね。まったく発想が違うんですね。そういう豊かなものだということを、ぜひもっと知ってほしい。
- 佐々木
確かにね。うちの子どもが保育園を卒業するとき、保育園の24人の子ども達が最後に劇をするわけですけど、その劇は「不思議の国のアリス」だったの。24人が登場して、ある程度平等の存在感と台詞量のあるシナリオを書かなきゃいけないわけですよね。だから、本当のストーリーとちょっと違ったんです。
だけど、全員子ども達が参加して、全員登場の作品を作ったの。素晴らしかった。保育園の先生方も、「たぶん歴史に残る素晴らしさだ」って言ってました。全員が主役。私も泣きました。アリスが主役で皆脇役じゃなくて、全員が自分の台詞を、先生の援助もあったと思うけど、役割を作って、衣装も作って。もう、本当に私、びっくりしたんですよ。だから、やっぱり子どもは、今おっしゃるように、やらせるとできるわけです。
- 丹下
できるんですよ。絶対できる。
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