ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第7回 西岡 郁夫さん

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モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長
西岡 郁夫さん
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世の中を流動させるもの
- 佐々木
西岡さんは、もともと技術者でいらっしゃるので、優れた技術に対して応援するというキャピタルにされたのだと思いますが、あえてそれにモバイルっていうところを加えていらっしゃるのはなぜですか?
- 西岡
うーん、出資する案件はですね、必ずしもモバイルでなくていいようにしてます。
モバイル・インターネットキャピタルの「モバイル」と「インターネット」とはorでつないでいる。「モバイルまたはブロードバンド、インターネット関連の技術」とこういうふうにしていますので、だからモバイルでなくてもいいんですね。
ただ、これからはモバイルの時代だと思っています。人間はそもそも動き回りますから、その人間に情報を送り続ける情報機器は人間と一緒に動き回らないと用を足せません。電話線につながって机の上に置いてあるのでは、これからの情報機器にはなり得ないのです。ですから投資のメインターゲットはやはりモバイル・コンピューティングの技術ベンチャーです。
- 佐々木
さっきもちょっと申し上げたんですけど、わたしたちイー・ウーマンからいうと、東京生まれのエリートの、一部の男性だけが牛耳っている経済や政治は、モバイル性が非常に少なかったと思うんですね。
- 西岡
あー。
- 佐々木
つまり、すごく凝り固まったある一定の人たちによって作られたグループ、アメリカだとよくオールド・ボーイズ・ネットワークといわれるような、ある一定のタイプの人たちが集まって経済を作り、政治を動かし牛耳ってきた。それは短時間に大きな成果を創るには、とても効率がよかったと思うんですね。
戦後の50年で社会を勢いよく復興させて、成長させていくためには、多分「阿吽(あうん)の呼吸」も求められたのでしょうし。ですから、だいたい似たような感じの人たちが連係して仕事をする。しかし、少しずつ歪んできていた。その歪みが、50年目の今になって、かなり大きくなってしまった。
その歪みが、地方都市と東京とがうまくいかない点に現れたり、男性と女性がビジネス界で共存できていなかったり、あるいは、西岡さんが始めにおっしゃったように、いろいろ多様な家庭の在り方を受け入れる社会に育たなかったり、という形で、表れているような。
このへんを流動させるっていうのは、ある意味、モバイルじゃないかと。こじ付けかもしれないけれど。
フレキシビリティが、この世の中や経済社会にあったならば、と思うのです。どうやったら揺さぶれるかな、硬くなった日本を、緩やかに解かせるかなということに興味があるんです、私は。こういう話をすると、すぐに青年の主張みたいになっちゃうんですけど、西岡さんは、どう思われますか?
西岡さんも「日本を変えたい」とか「日本に貢献したい」というような社会的な主張みたいなものがおありだと思うのですが、いかがですか?
- 西岡
モバイルは、おっしゃるように、そういうインパクトがあったと思うんですよね。モバイルがなかったら、決してインターネットにアクセスすることのないお年寄りとか家庭の主婦だとかが多かったのではないかと思います。
家庭の主婦でも、ものすごくネットに詳しい人もいるけど、一方では自分はITには無関係だという人も多かったわけですから。
その人たちが、ネットワークにアクセスしているということは、モバイル、携帯電話があったからこそできたということで、そういう意味で、今言われたように、文化に対するモバイルのインパクトというのはすごく大きかったと思うんですよね。
しかも、ベンチャーというような人が育ちつつあって、ちょうどいいタイミングで、そのベンチャーがいろんなバリュー・アッドを享受できる市場ができている。そしてそれが実にうまく相まって、日本のモバイル文化っていうのができたんじゃないかな、と思います。
10/13
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