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陰山 英男さん
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民族性をいかして、日本式に。いわゆる大きな政府でいいんじゃないか
- 陰山
国柄と言うよりも民族性ですね。いわゆる狩猟民族、要するにバーッとあちこち出かけていく民族と、それから農地を持ってそこで共同体で稲作を中心にやってきているものとが違うんですよ。日本人は専門化するんじゃなく、いわゆる共同体をそこで作ってしまって、そこですべてをこなせるよね。
江戸時代を見たときに、江戸時代っていうのは実は、あの時代にあっては世界に類を見ない、浮浪者のいない世界なんですね。それはなぜかって言うと、いわゆる社会主義みたいな制度になってるわけです、日本自体が。ただ経済における社会主義とは違うんだけれども、明らかにそこに貫かれてる論理ってのは、社会主義的なんですよね。
だから、ついこの間まであったような、銀行に預けとけばなんとかしてくれるっていうのがあって、その安心感からこっちは仕事することに専念できたわけですよね。だから、かえって以前はよかったと思ったりします。
ところが今は、それぞれ専門家になってきたでしょ。その結果各家庭が実は金融のことも考えなきゃいけない、「この土地、何坪や」みたいな話をしなきゃいけなくなってくるわけですよね。
で、そういうことによって、各家庭が非常にしんどくなるんです。それは決して好ましいことだとは思ってなくて。僕は日本のいわゆる大きな政府でいいんじゃないか。日本は日本式でいいというのが僕の考えです。
- 佐々木
すごくおもしろいです。
- 陰山
そうですか。日本型の社会構造っていうものの中に、実は日本経済の最も強い強さがあるわけですよ。で、実は私、その日本型を失わないことが、アメリカ型経済に対抗できる唯一の方法だと思うんですね。アメリカ型にしてしまえば、デカいのはアメリカですから。日本が吸収されてしまうんじゃないですかねえ。
- 佐々木
違う戦略で出していけば。
- 陰山
うん、そう。
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