ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第47回 伊藤 隼也さん

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写真家・ジャーナリスト(医学ジャーナリスト協会会員)
伊藤 隼也さん
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数多く見て、自分を育てる
- 佐々木
そうですね。たぶん私も似たような感覚を持っている気がしますが、これは皆に高めて欲しい力ですけど、どうしたらいいでしょう。
- 伊藤
僕と同じような体験を他人はできないし、僕も皆さんと同じような体験はできないけど、人はやっぱり経験して、その経験を学習する能力があるじゃないですか。あるアンテナを磨くことによって学習能力が飛躍的に高まると思うので、それは共有できると思うんですよね。磨き方みたいなところでね。
- 佐々木
あとは数を見ることでしょうね、きっと。いつも行く病院でない病院にもいってみるとか。
- 伊藤
そうそう。数を見る。そういうことはとても大切だし、僕は、優秀なお医者さんというのは患者さんが入って来たら、入口から見ていると思います。
右手で入ってきたのか左手で入ってきたのか、歩き方はどうなのか、座り方、その人のしゃべり方、感じ方。そういう五感を使った医療っていうのが、今、ものすごく検査や機械でスポイルされちゃって、教育でもそういうものが得られる機会が少ないようですね。
でも、意外だったのは、アメリカでは、フジテレビの取材で行ったシカゴの大学病院でも、研修医や、さらに臨床教授の口から「僕は患者さんに毎日教えられている」なんていう言葉がフランクに出てきて驚きました。また、聴診器ひとつで相当な能力をもった医者がいるんですね。
- 佐々木
どうやって訓練するんですか、アメリカの医者は。
- 伊藤
アメリカには世界一といわれる、非常に厳しい医師教育システムがありますが、基本的には、それはやっぱり、たくさんの患者さん……症例を診る。数ですね。だからいつも僕が言っている、たくさんの症例を経験することが大切だから、特に外科の領域、例えば心臓の病気であれば、年に10回しか手術をしてない病院では、優秀な心臓外科医は絶対に育たないわけですよ。
- 佐々木
同感です。また私の子どもの話で恐縮ですが、近くの若い医師がいる小児科でなく、ちょっと離れていてかなり高齢のお医者さんなんですけど患者さんがいつもあふれている医師を選んでいるんです。症例に多く触れている方がいいかな、って。
- 伊藤
それは正解ですよね。あとはそういう、経験豊富な人でも、見逃す可能性があるものについて……。
- 佐々木
ときどき薬の量を間違えそうになるから、指摘するんですけど(笑)。
- 伊藤
やっぱり親が、しっかり自分の目で観察しているというのは大切ですよね。
- 佐々木
そうですね。私も先生の目の動きや手の動きを、すごく観察してます(笑)。
20/23
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