ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第44回 アラン・ケイさん

44 |
HP研究所シニア・フェロー、Viewpoints Research Institute プレジデント
アラン・ケイさん
|
|
|
発展途上国のためのコンピュータを作りたい
- 佐々木
そうだと思います。「コンピュータの父」と呼ばれるまでに、すでに大きな功績を残されているのですが、これからどのような生活を送りたいとお考えですか。
- アラン
いくつかあります。子どもたちが私たちよりもさらにうまく物事を追求できるようになる手助けをする、そう考えるとワクワクし、モチベーションでいっぱいになります。そしてこの高揚と必要性が、困難を克服するわけです。
私たちには活用できる基金が多額にあるので、したいことがたくさんあるんです。でも実はテクノロジー関係はわずかです。20年後にリタイアするまでにしたいことのひとつは…。
- 佐々木
退職は20年後ですか(笑)。
- アラン
たぶんね(笑)。したいことのひとつというのは、発展途上国のためのコンピュータを作ることです。コストの関係で、これまでとはまったく違う方法で作る必要があります。基本的には私たちが持っているものを捨てたくはありませんが、今日のコンピュータとは違うものにしないといけません。
- 佐々木
コストもそうでしょうけれど、水やほこりなどの環境に耐えるハードボディ。それに何しろ電力のことも考えないと。それに環境に優しい素材でできていたら良いと考えてしまいます。アランさんのことですから、もちろん、もっと内側のソフトウェアなどのことも考えていらっしゃるのでしょうが。
- アラン
発展途上国向けの面白いトレードオフのひとつは、非常に安い紙に新聞を印刷できるプリンタです。非常に安い紙に印刷すれば、第三世界が必要とする情報を得ることができます。それから、製造コストが100ドルを優に下回るコンピュータを作ることです。発展途上国の人々が現実に買えるような額のものを作るわけです。これは、現在のコンピュータを革新的に正すこととなります。
- 佐々木
発展途上国向けという発想で生まれるものが、世界的に必要とされているものになりそう。
- アラン
現在のコンピュータは小さなものでも、車で言えばスポーツユーティリティ車のようなもので、機能に対して信じられないほど高額ですよね。でも経済システムのバランス上、そうなってしまうのです。
でも発展途上国に対しては、そうはいきません。例えば、導電性プラスチックでできたディスプレイを作るとかです。並行すれば、計算部分も電導プラスチックで作ることができると思っています。この素材はインクジェットプリンタで作れるので、工場を建てる必要がありません。とにかく、今とは非常に違ったマシンになりますよ。
- 佐々木
とても興味深い。いつ頃実現可能なんですか?
19/20
|
 |
|
|