ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第40回 枝廣淳子さん

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同時通訳者・環境ジャーナリスト・セルフマネジメントコーチ
枝廣淳子さん
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水俣市の「ゴミュニケーション」
- 枝廣
今、水俣市って、ゴミを何分別してるか、ご存じですか?
- 佐々木
9とか11とか?
- 枝廣
23分別なんです。
- 佐々木
23!?
- 枝廣
碧南市というところは32分別だそうですけど。で、その水俣の面白いのは、各地域にゴミステーションがあって、そこにはボックスがたくさんあるんですね。
毎週1回、決まった時間にそこに来ておしゃべりしながらゴミを分けるんです。「今日はあそこのおばあちゃん、いないね。どうしたのかな、ちょっと寄ってみようか」というふうに、地域のコミュニケーションをしている。それを水俣の吉井前市長は、「もやいなおし」と言っていました。窒素の問題で、人間関係がぐちゃぐちゃになっていたのを環境やゴミ分別で「もやいなおす」(結びなおす)から、「ゴミ」ュニケーションだ、と(笑)。これを英語でどう訳そうかと思ったんですけど(笑)。ゴミを分けることで「つながる」、すごく面白いですよね。日本に限らず、環境って資源を守るとかゴミを減らすとか、それは表面的なことで、それを使って何かもっと大きなことができると思うんですね。
- 佐々木
そうですね。夏にハワイ島に行ったんです。野生のイルカと泳ぐということで。で、海にもぐる前3日間、わたしたち家族にトレーニングしてくださったコーチの方が「まずは海辺のゴミ拾いから始めましょう」と言うんですね。5歳と10歳に「地球上でゴミを出してるのは人間だけでしょう。だから人間が拾わなくちゃいけないんだよ。海で泳がせてもらったり、山を歩かせてもらったりする時は、まずゴミを拾おうね」と教えてくださったんですね。
そして「ゴミの種類を見てみよう」「ゴミを分けてみて、何が多いだろう?」。たばこの吸殻が多いと、「これ1本が海に入ってから、形がなくなるまで何年かかると思う? 20年から30年かかるんだよ。」 子どもが「ええっ?」なんてビックリしたりして感心しながら生活したんです。
そういうわけで、ハワイにいる間は毎日、海で泳ぐ前にゴミを集めることから始まった。すっかり子どもの生活の一つになりました。ただ「ゴミを分別しましょう」と言うよりもストーリーがあって学ぶと印象にも残る。うちの子どもはたぶん今後、山や海に行ったら、ゴミ拾いから始めると思うんですね。
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