ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第37回 石井苗子さん

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石井苗子さん
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不平等だからこそ生きていく気になれる
- 佐々木
いろいろなことに挑戦なされて、本当にすてきだなって思うんですよ。東大大学院の受験だって、女優業と同時進行でしょう?
- 石井
「勉強好き?」なんて聞かれるけど、勉強好きな人なんていないだろってずっと思ってた。だけど、いたいっぱい! 大学に。でもわたしはね、妹が体が弱くてなぜこんなにわたしと違うのかって思ってから勉強を始めたの。遺伝的なことに興味を持ってからかな、勉強したのは。姉妹なのに不公平じゃないかとね。
地球上で公平なのは引力と年齢だけ。あとは全部不公平なんですよね。だからこそみんな生きていかなきゃと思うんじゃないかな。全員が平等だったら何にもする気なくなっちゃうじゃない。
勉強は、“やればやっただけのことがある”、数少ないものでしょ? そういう意味では公平だと思う。勉強した前より後のほうが成績が落ちたなんてないもんね。やらないから落ちる。できるできないの差があるようで、実はそうでもないんですよ。
聖路加看護大学もね、入学したものの1年目は落第。仕事で休んだら次の年も落第、当然ですよ、授業進んでるんだから。でも中間試験くらい受けさせてくれると思って行ったら、出席日数が足りなくて受けさせてくれない。すごいでしょう、この公平さ?
- 佐々木
勉強ができようがなんだろうが休んでたら駄目なんだ。
- 石井
そう。 校長室に呼ばれて「今後どうなさいますか? お仕事を清算して戻ってこないと」って。とりあえず休学ということにしてたら、次の年に退学届と復学届がいっぺんに家に届いた。「どちらになさいますか」って。
- 佐々木
わかりやすい。どちらかを選択しなさいってことですね。最後の選択。
- 石井
温かくて、厳しいのが公平。もう駄目だと思ってたら「死んだ気になって戻ってきませんか。芸能界もよろしいけれど、戻ってこなければ合格はなかったことになります。国家資格を取ってからまた、ミステリーなどにお出になったらどうですか」って。「え! 先生見てたんですか?」って(笑)。シスターが人からかって、みたいな。それで一度死んだ気になった。
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