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南坊 博司さん
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英語ができたら、ビジネスの中心に立てる
- 佐々木
南坊さんは、英語がおできになったから、海外出張や海外赴任を抜擢されたのですか?
- 南坊
いえ、最初はまったく何にもできなかったんです。一時はコロラド州にあるコロラド・スクール・オブ・マインという大学で資源経済学を学びたいと思っていたのですが、それもできないまま。英語も、大学の時はさぼっていましたから駄目で。
だから最初にアメリカへ行った時に、レストランで注文するのも大変だったですよ。「ドレッシングは何にしますか?」と聞かれ、何があるのかと尋ねると相手がシャワーみたいにいっぱい言ってきますよね。わからないから一番最初に言ったやつを注文してたんです。サウザンアイランドなんですけども(笑)。
で、今度はポテトは何にするかと聞かれて、何があるのかわからなかったから、“Fried”って言ってました。でもやっぱり毎日食べるとなると飽きてくる。
- 佐々木
そうですよね、だんだん、一番目じゃなくて二番目を頼んでみようとか(笑)。
- 南坊
ええ、それで最後は、何があるのか全部聞いてみようということになった(笑)。英語って、本当はそうやって覚えるのが一番いいんでしょうけれども、なかなかみんなそんなゆっくりはしてられないから、語学学校とか大学の集中コースをとって語学勉強をされるんですよね。
- 佐々木
南坊さんは、英語の学校とかに行かれたんですか、それともオン・ザ・ジョブで?
- 南坊
オン・ザ・ジョブでした。たとえばミーティングの席で、日本側が何人か座って交渉しますよね。そうすると、自分が座っていても、自分のほうに視線は絶対に来ないんですよね。相手は、「こいつどうせしゃべれないから」「わかんないんだ」と思うからですね。
そうすると、流暢な英語の、ニューヨーク駐在員みたいな人が、ペラペラっとしゃべり、相手はそこへ集中しますよね。彼はそれを日本語に訳して僕に伝える。それに僕が英語で答えたのに、あんまり通じないもんですから、相手はみんなまた彼を見る。彼は、僕の言った英語を、さらに英語にして……。
- 佐々木
通訳する(笑)。
- 南坊
そう。なんか僕の前をパスされているような。それはやっぱり悔しいわけですよ。技術的には僕が何かを言わなきゃいけないんです。それが、第三者を通じてずっと会話が進むという寂しい状況がありましたんでね(笑)。
きっと商社の方も石油会社の方も、若いうちはみんなそうだと思うんですけど、そういうのを経験すると、猛然と勉学意欲が湧くんですよね……。ま、勉学意欲というか、やらなきゃビジネスの中心に立てないんだとわかる。
成績が良くないと恥ずかしい、という、学校でのそんな消極的なものではないですよね。ここでやらないと、自分で会議もリードできない。だからやっぱり勉強する。
- 佐々木
そうですね。今、「英語ができないとビジネスの中心に立てない」とおっしゃったのは、厳しい発言ですがけっこう当たっている。プラスの表現をすれば、「英語ができるだけで、随分ビジネスが入ってくる」。それは、わたしも実感します。
英語ができるだけで、海外のメディアやビジネス仲間との交流ができる。情報も入るし、仕事も増える。そして、発言の影響力さえももってくるような。周りの若手起業家を見ていても、英語ができるかどうかは、かなりの違いになっていると思います。
- 南坊
グローバリゼーションとは言われてきましたけれど、それ以上にみなさんが意識されているんじゃないかと思うんですね。特に日本は単一民族ですので、日本語ですべてことが足りますよね。
わたしはジャカルタに全部で4年くらい住んでいたことがあるんですが、向こうの大学生は普通に英語をしゃべるんです。たとえば数学の教科書は、インドネシア語の教科書はないので、英語の教科書で勉強する。そのうちに英語に親しんでいく。英語に対するイマーションというんですか。
- 佐々木
はい。
- 南坊
それは日本と全然違う。じゃあ、日本の若い人たちが外へ出て行きたくないかというとそうじゃないんだけれども、やっぱり英語のリテラシーというところで、なかなかおっくうなんでしょうね。そういう人が機会を持ってもらえるようにしたいんです。
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