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廣田尚子さん
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突然アメリカから買いに来たお客さん
- 廣田
ええ、実はその同じ記事でもう一つ、いえ、一番おどろいたのは、ある日、アメリカ人の女の子が二人、バッグを買いに家まで訪ねて来たことですね(笑)。入選だったから、小さい白黒の記事だったと思うのに、びっくりです。
- 佐々木
記事を見た人が、ですか?
- 廣田
いつも仕事からの帰りが遅く、その日も、夜中の12時半ごろに帰って来たら、MoMAの時と同じように雑誌のコピーにマルのついている紙がドアに貼ってあって、「ここはお店じゃないんですか! わたしたちはこのホテルにいます。連絡ください」というメッセージとホテルの電話番号が書いてありました。何のことだか全然わからなくって(笑)。
- 佐々木
突然来たんですか? 自宅へ?
- 廣田
そうなんです。雑誌の記事を見て、雑誌社に問い合わせて、住所を調べて女の子たちが来ちゃったんです(笑)。「買いたいのだけれど、なんとか手に入れられませんか」ということでした。それで、家にあった在庫を持ってホテルに行って。そこからはすっかりお友だちになりました。
わたしよりも2歳ぐらい年下で、ちょうど自分で自由に旅行にも行ける、というような年ごろでしょうか。
- 佐々木
すごくうれしいですね!
- 廣田
デザイナー冥利に尽きますね。たくさんの人、というよりは、ものすごく強く興味を持つ人とおもしろい出会いをするという材料になっていること自体が、わたしにとっては十分うれしいことです。
- 佐々木
ではアムステルダム市立近代美術館での販売も、いきなりファックスとか?
- 廣田
それは、知人の紹介です。その美術館に精通しているオランダ人の方がすごく気に入ってくれて、お話をしてくださった。人づてに問い合わせがきたという感じです。
どちらも1年ぐらい、ショップで販売していただきました。
- 佐々木
自分のバッグを誰か買ってるのかなあ、ってのぞきに行きたくなりませんでしたか?(笑)
- 廣田
そうですね(笑)。でも、日本で、あるパーティーに出席した時、わたしのバッグを持っている方がいらっしゃって、その方はニューヨークで買われたということでした。逆に、つくっている人が近所にいたのね、ということで驚いていらっしゃいました。お互い会社が近くて。
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