ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第20回 廣田尚子さん

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廣田尚子さん
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常に10年プランを持つ
- 佐々木
大学を出られてデザイナーとして13年。このたった13年の間に、数々の賞を受賞されて、独立されて、企業からもいろいろな仕事を依頼されて、それで今、グッドデザイン賞の審査員もやっていらっしゃるわけですよね。
ほかの人とは何が違ったと思われますか? デザインがよかったのは、もちろん見ていてわかるのですが、それ以外の面ではいかがですか?
- 廣田
いつも遠くを見るのが好きです。今、「次にこれがしたい」と思っていることは、ずっと前に決めておいたことなんです。
いつもすごくロングスパンでやりたいことを考えておくので、自分が前に決めたことを毎日楽しんでやっているうちに、どんどん時間が過ぎていくんです。それがほかの人と違うところかもしれません。
- 佐々木
どのぐらい先のことまで考えているんですか?
- 廣田
会社的にいえば事業計画となるんですが、自分の人生として、10年先ぐらいのことまではいつも考えています。学生のときからそうです。
- 佐々木
わたしもそうでした。だいたい10年先のプランを描いて働いてきました。もしお聞かせいただけるなら、これから3年、5年、10年後、何がしたいか教えていただけますか?
- 廣田
最初の会社でプロダクトデザインを6年半、その後バッグ中心の仕事を7年間やってきていますので、ここからそろそろ、それらをうまくブレンドしていければと考えています。
どちらか一本をやってきた人とはまた違う発想のものをつくるためには、ちょうどいい時間を使ってきたかなと思っています。これからの2、3年はちょうどその二つをミックスさせるステージ。
もともとはプロダクトの仕事をしていて、その後、バッグという柔らかい素材を扱うという、一つの転機があったわけです。
ですから、先々としては、ブレンドの2〜3年の後、またプロダクトというものをきちんとやっていきたいと思っています。柔らかい素材を扱うことにしたのもそのためで、デザインの幅を広げておきたかったんです。
- 佐々木
おもしろい。そして、プロダクトに戻る。
- 廣田
ええ、年齢的に40代になった時には、移り行くファッションではなくて、もっとじっくり考えていく方向性のプロダクトを、違う視点でとらえていくのも楽しいかなと思っているんですよね。
- 佐々木
プロダクトといっても、さまざまなものがあると思うのですが、どんなものを?
- 廣田
家具もありますし、家の中で使うものすべてですね。
- 佐々木
家の中以外でも、たとえば、自動車とか家などの大きなもので、というのはいかがですか?
- 廣田
そうですね、興味ありますね。家については、わたし、古いマンションを買って、リノベーションをしたんです。この事務所も2年半になりますが、築40年で、好きに改装していいということだったので、リノベーションしました。手づくりです、ここは。
- 佐々木
すてきですものね!
- 廣田
女性でプロダクトのデザインをする人はものすごく少ないので、そのぶん意見を求められることが多くあります。ですから、徐々に「女性として」という視点も入れていけば、水回りのものであるとか、家具とかでも、違ってくるんじゃないかなと思います。
小さいもの、大きいものという、スケールには特別こだわらず、ですね。
- 佐々木
期待しています。今日は、お忙しい中、本当にありがとうございました。
- 廣田
ありがとうございました。
対談を終えて
しなやかで、シンプルで、芯がある。それが廣田さんの印象でした。昨年後半に仕事で知り合ってから、その活動の幅や新しさに惹かれました。プロとして女性が世界で活躍しているのを知るのは、本当にうれしいことですね。
対談の後半にもありましたが、廣田さんにとって2004年は「ミックスの年」とのこと。その過程でまた頻繁にお会いして、情報交換(?)できるのを楽しみにしています。ありがとうございました。(佐々木かをり)
13/13
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