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吉田和正さん
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組織レベルで結果を出していかないとだめ
- 吉田
今でもはっきりと、リーダーシップというのはこれだと言い切れないのですけれども、ただ明らかに以前と違うのは、やはり組織レベルで結果を出さないとだめだと感じています。
そのためには、成長プランや後継者の育成など、2、3年以上の長期に渡る内容も含めて、まずは自分で考え、そしてその方向性や実現の戦略などをスタッフと共有する必要があります。そしてある程度のスタッフとの議論の後、社内全般に向けたコミュニケーションを考えます。最終的には社員全員が、今後、会社の進む方向、どこへ向かって何を実現するのかなどを共有します。頻度も大事です。一回だけで社員の理解を得ることなどはできません。大事なことは繰り返して伝え続けます。
それから前に比べて決定的な違いというのは、やっぱり長期的に物事を見る必要があると強く感じたことだと思います。社長就任時は、とにかく、例えば2010年だったら2010年の結果を出すにはどうしたらいいか、その部分に8割9割のエネルギーを費やしていたと思います。しかし実際は、新しい成長分野として位置づけている産業用組込み機器などでインテル製品を立ち上げていくためには時間がかかります。
ですので、まずは我々にとって実現可能な高い目標設定をする。そして、戦略立案、例え5年先でも10年先でも、最終的に目標をどのように達成するのかを明確にして、あとは短期的な成果や結果を一年ごとにしっかりと出していく。その積み上げが大きな結果を生み出す。なそんな感じでいいと思います。もう一つ、何か大きなトレンドや成果を起こすためには、それにふさわしいタイミングが世の中や市場にはあるということも、何となくわかってきた気がします。早すぎてもダメという事例はいくつもあります。
例えば、革新的なテクノロジーが1つあっても、周りの環境が揃ってなかったり、利用形態が今ひとつだったり、市場にその新しい技術を受け入れる準備ができていない場合、インテルが市場に新製品を投入してもなかなか立ち上がりません。だから物事には、やはりそれを起こすタイミングがある、と思いますね。WiMAXなんかは、まさにそうなのです。無線LANが使われていなければWiMAXはたぶんピンと来ませんし、3Gの通信サービスがなかったらWiMAXの良さもわからない。いま、まさに旬のタブレット型情報端末もそうですね。もう5年以上前から製品はありましたが、いまだに爆発的なトレンドにはなっていません。でもアップルさんがiPadを出しましたが、これでタブレットに再び気合いが入るのではないかと思います。重要なのは“よし、いまだ”と思ったら徹底的にやるということです。
インパクトの高い仕事を成し遂げるには、”ここだ”というタイミングで必ず強力なアクションを起こす、というのが大事だと思います。これについては経験値と失敗体験から来るものかもしれませんね。最初の時点ではそれがチャンスなのか全然わかりませんでしたし。
- 佐々木
確かにタイミングは大切ですね。同時に、インテルは世の中に新しいものを提案する会社ですから、おっしゃるように、目の前の3ヵ月でいくら売り上げるっていうことの積み重ねだけでなく、新しい市場を造りあげたり、生活を提案する、長期ビジョンとか長期戦略、長期に向かっての種まきのような仕事が大切だということなのでしょうね。
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