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馬越恵美子さん
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異文化経営では、文化っていうものを広く定義していまして
佐々木
ずいぶん英語の話をしてきたのですが、馬越さんは、異文化経営に関して、非常にたくさん論文を書かれていて、本も書かれているわけですけれども、今、グローバル社会になって、ボスが急に外国人になる、会社の公用語を英語にしようという会社もあります。あるいは今までは拠点が海外にあるだけで、ヘッドも日本人、スタッフも日本人っていうところが多かったけれども、ローカルで雇うような企業がたくさん出てきたんですけれども、馬越さんがご覧になっている企業の中で、グローバル経営とか、あるいは異文化経営というんでしょうか、最近は、どんな傾向があるんですか?
馬越
私のスタンスとしては、元々、同時通訳を20年間やっていたんです。そのときビジネスの現場が多かったんです。あるいは国際交渉とか。たとえば経団連の方がアメリカの経済の専門家とお話をするときの通訳とか、企業の役員会とか、事業のプロジェクトチームとか。昔ですから、たとえばAT&Tが民営化するときとか、NTTが民営化するときとか、石油会社の経営委員会の中で通訳をしたり、そういうビジネスを非常に見てきました。
じかにビジネスの現場に立ったときに、すごく異文化コミュニケーションっていうのは難しいな、というのを現場で見せていただいた。そういうところから、勉強しようかな、ということで、研究論文も自分の問題意識から発しているんです。
で、何が問題かというと、異文化経営では、文化っていうものを広く定義していまして、たとえば着るものとか、言語とか、食べ物とか、ありますけど、それがまず外の層だとすると、中間の層に、社会の制度とか法律の制度とか、そういう枠組みがありますよね。で、真ん中に、自分の価値観、思い込みですよね。「なぜ、こう言ったのに、こう取るのかな?」とか。これは男女でもありますよね。
その前提条件、自分が思い込んでいて、そうだろうと信じている、自分でも気づかない自分の価値観というものがある。
オランダのホフステッドという学者が、それを”software of the mind”、マインドのソフトウェアだ、と言いました。で、これはその人が小さいときからずっと現在まで培われてきたもので、なかなか変えることは難しいし、変える必要もないんだけれども、一人ひとり全部違う。それが、国が違うと、もっと違う。社員でも、社長も、一人一人違いますよね。違う国だと、もっと違うということです。
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