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窪木登志子さん
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何でもできるような弁護士になりたかった
- 窪木
それで浪人するんだったら記念で受けてみたい大学もあったし。でも、中大の入学式に行ったら、司法試験なんてそんな甘いものじゃありませんって言われて、受けるんだったら1年でも早くチャンスを生かしたほうがいいと言われて、素直に「そうか」と思って浪人はやめて、法学部に入学。
- 佐々木
それで弁護士への道を歩むことになったわけですけれど、法律を学ぶときには何か分野を決めたりしていたんですか?
- 窪木
最初に就職したところは、知財法が専門で、おもにアメリカ法人にリーガル・サービスを提供するところだったので、そういう選択肢はあったんですけど、私自身は最終的にはオールラウンドで、どんな質問がきても、一応のことは何でもできるような弁護士になりたかったんです。もし非常に専門的な問題だったら専門の弁護士を紹介できるような。
- 佐々木
それはなぜ?
- 窪木
それは、隣に座った人に、何かちょっとアドバイスをしてあげればその人が元気になったらいい、というのが原点です。
- 佐々木
弁護士の中には、企業の法務部にはいるとか、海外だったらクラスアクションを起こせばすごい収入になるということで、その専門として動く人もいるでしょう。いろいろと弁護士としてのタイプや収入確保の戦略があると思うんですけど、私が87年からお仕事をさせていただいていると、窪木さんはそうじゃないですよね。窪木さんのお人柄というかお仕事の仕方が、すごく穏やかで素敵だと思っているんです。それで何が原点なのかなと。たとえば、これだけの経験を積み、多忙を極めているのに、今もたとえば区役所とか無料相談とか……。
- 窪木
区役所は人権擁護委員とか、保健所や情報公開・個人情報の委員とかですね。裁判所の調停委員や協議会の末席にもいたり、弁護士会の委員もいくつか。あと中央大学ロースクールの講師や、弁理士会の講師とか。
イー・ウーマンのある表参道に近い東京都のウィメンズプラザでも、今は相談員はやっていないんですけれども、中央大学ロースクールの家事法を持っている関係もあって、学生を連れていく代わりにそこで講演をしてくる、と。講演っていっても、DVの被害者への講演なので人数は少なくて10人以内なんだけど。ボランティア的なものってすごく多いですね。
- 佐々木
でも、きっとそういうボランタリーなことがやりたかったから、弁護士になってやり続けているのでしょうか?
- 窪木
そうかもしれないし、でもそこでたくさん学んで、本業にもプラスになっていますし。困っている人には、その人の人生だから最終的に解決するのはその人なんだけど、少し助言やアドバイスをしたら明るく前向きになってもらえたらいいかな、と。
母親も、遺産相続のときに少し弁護士さんにお世話になったことがあって、そのときに私も力になれればいいなと思ったこともありました。当事者として困っているときに、本当に悩むとお腹も痛くなっちゃうし、頭も痛くなっちゃうし、体も震えちゃうし。
- 佐々木
そうか。でも、そのモチベーションで弁護士なったとはいえ、ボランタリーな気持ちはあっても、なかなか経営バランスを考えると、そればっかりやっているわけにもいかないでしょう?
- 窪木
その質問は佐々木さんに全部返してあげる(笑)。どうぞ御回答を、っていう感じよね。国の審議会委員とか、いろいろやって、どうやって時間を作っているんだろうって。私は子どもはいないけど、佐々木さんは子どもが二人もいるし。私にもかわいい、チャーミングパパって皆に言われている父の介護はありますけど。でも、それがまたトンチがあっていい笑顔をもらって、エネルギーにもなっているんですよね。
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