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野口悠紀雄さん
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30年ぐらい続かないとね
- 野口
日本でワーキングプアが出てきているようにね、一部で崩壊が始まっているのは事実なんですけれども。
- 佐々木
一部が崩壊していて、でも、飛び出た上もいないんですね。
- 野口
いないですね。それは今までの戦後の日本社会のいい一面でもあったわけですよ。私はその点は非常に評価します。60年代、70年代には、それは明らかにプラスに働いたんですよ。例えば軽井沢に行ったって、女の子が、若い人がウロウロしている。あれはヨーロッパのリゾート地ではあり得ないことなんです。私はあれは非常に豊かなんだと思っていたんです。それが私は戦後の日本の一番大きな特質することだと思っていたんですけれども、それが逆に働くようになったんですね。
- 佐々木
簡単に軽井沢に行けてしまうライフスタイルでいるから、それ以上は求めない。
- 野口
そうです。だから危機感が来て、やばいと実感できるようにならないと駄目なんです。
- 佐々木
そうですね。でも、やばいと思った人が、逆に日本を捨てるということは大げさかもしれませんけど、出ていっちゃっているということはないですか? それこそ韓国や中国の人たちは、先生がさっきおっしゃったように偉くなれるから、もしかするとお金も儲かるからということで母国に戻っていくじゃないですか、人脈も持って経験も持って。でも日本の人は、もう日本は駄目だと思って、学んだ人が戻らないとか。
- 野口
私の見るところではいないと思いますよ。そもそも、あまり出ていってない。だから日本が嫌だから戻らないというのはない。私の世代では、例えば、ハーバードで学位を得ても、日本で受け入れてくれないから、やむを得ず、アメリカに居たっていうのはいるんです、何人かは。だけど戻りたくないというのは。
- 佐々木
日本は少しずつ変わってきていると?
- 野口
少しずつ、は変わり得ないだろうというのが私の考え方。危機は深刻化しないと駄目なんですよ。
- 佐々木
どれくらいの強い危機が来ると?
- 野口
今来ているんじゃないかなと。
- 佐々木
何年ぐらい続かないと駄目ですかね?
- 野口
30年ぐらい続かないとね。
- 佐々木
30年!
- 野口
イギリスは30年続きましたからね。イギリスは第二次大戦以降、ずっと駄目で、石油ショックで明らかに駄目になったんですよ。あのショック後のイギリスは散々たるありさまでしたね。しかしイギリスは復活しましたよ。石油ショックから今まで30年ぐらいかかっているんですよ。
- 佐々木
すると日本は遅れた危機を今感じていて、これから30年かけて。
- 野口
深刻化して、どうしようもなくなって。
- 佐々木
それを逆に30年かけないと、良くならない? 私なんか人生終わっちゃいそう。
- 野口
それは僕も同じなんだけど。イギリスはサッチャーで変わりましたよね。ただ危機が深刻すれば、社会は自動的に変わっていくだろうと私は思っているんですよね。
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