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鈴木 淳子さん
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「どうしたの?」って聞いてあげるのが一番
- 佐々木
私ね、こういう問題って、親にも認知させなきゃいけないけれども、子ども自身にも教えてあげないといけないと思うんですよね。子どもってなかなかSOSを出せないだろうと思う。今は、小学校とか中学校で、虐待など、困ったことがあったらここに電話していいですよっていうSOSカードみたいなものを配布していますけれど、我が家の子どもたちも、「はい」って私にくれるんですね。だから、「それは私にじゃなくて、あなたが持っていて、あなたが困ったときにここに電話するんでしょ」と説明したりして。
子どもたちに、困ったときにSOSを出せる仕組みがあることや、秘密も守ってくれるし、だからといって親と永遠に会えなくなるんじゃないから、安心して相談していいよっていうことを伝えられたらといいなって思うんです。そういうふうに思いませんか? 子どもたちが相談できる、もう少し簡単なSOSサービスがあったら、いいんじゃないかって思うことがある。
- 鈴木
そうですね。でも、本来は日常的に学校とか保育園とか幼稚園とか、毎日見ている大人が、「あれっ?」って思ったり、「どうしたの?」って聞いてあげるのが一番だと思いますよ。
でも残念なことに、学校の先生だって、児童相談所がどういうところか、どんな人がどんなふうに援助をしているのか、どんなことができてどんなことができないのかって、ほとんど知らないわけです。児童相談所に連絡したら、子どもはすぐに施設に入れられちゃう、とか、施設に入れるのが児童相談所の仕事、と思われていることも多いんです。
例えば、ネグレクトというか、いわゆるゴミ屋敷になってしまっていて、ちょっと開けるとゴキブリがぞろぞろ出てくるような家庭で、ガスも水道も止められている。そういう家があると、学校や地域からは、「子どもは施設の方がきちんといい生活できるんだから、何で児童相談所は施設に入所させないんだ」などと批判されるんだけれども、施設入所よりも前に、やれることがあるんですね。たとえば、お母さんがいろいろなサポートを受け入れるように、まずは担当ケースワーカーが信頼関係をつくっていくとか、生活が大変だったら、生活保護を受けるようにするとか。そうやって、家族に必要なサービスを提供し、時には一時的な保護も利用したりして親子関係や、ご家族と地域の媒介になったりして、見守りながら、長期的に支援をしているケースも多いんですよ。
- 佐々木
そうすると、今の世の中がすごく複雑になってきて、いろいろな家もある。おっしゃるように、ただかわいそうだからといって、隔離すればいいわけでもないし。そういう家庭に気がついたらといって、どんどん施設に入れることはできないわけだし。
となると、今の日本社会に何があると、子どももよくなるし、大人がそんなふうにならなくて済むんだと思いますか。
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